応用栄養

【管理栄養士】特殊環境での体の変化【解説】

コン
う~、さむいっ
ぶるぶる震えてるね
ほんいつ
コン
なんで寒いと震えるんだろう?
暑いときに汗をかくのと同じで、体の内部の環境を一定に保つためだよ
ほんいつ
コン
なんで震えることが体を一定に保つことにつながるのか…、解説を見てみよう!

人間を取り巻く様々な環境

高温・低温、高圧・低圧、無重力など人間はいろいろな環境で生活します。
環境が変わったとき、人間の体はそれに対応して生きることができるように体のはたらきを調整します。
体の外側の環境が変わっても、中の環境を変えないためです。
このように、体の恒常性を維持すること適応といいます。

各環境での体の変化やその理由について解説していきます。

高温環境

発汗

高温環境では、体温を保つために汗をかきます。
汗をかくと、汗が蒸発しますね。
汗が蒸発するときに、熱を一緒に持っていってくれるので、体温が下がります。
蒸発するときに持っていかれる熱を気化熱といいます。
熱の放散のために、呼吸が増えたり皮膚血管が拡張したりもします。
皮膚血管が拡張することで熱が体の表面に移動できるため、熱の放散を促進します。

水分不足

また、高温環境では体の水分が不足します。
水分が不足した状態で尿を出すと、さらに水分が減ってしまいます。
さらに、汗をかくことでナトリウムも排出されてしまいます。
ナトリウムの再吸収促進のためにアルドステロンが分泌されます。
また、抗利尿ホルモンであるバソプレシンも分泌され、尿量を減らします。

水分量の減少は、循環血液量の減少にもつながります。
循環血液量が減少すると、心拍数は増加します。
これは、心臓が1分間の心拍出量を維持しようとするためです。
例えば、一回の心拍で流れる血液が100ccで、1分間では7000cc流れるとします。
水分量の減少により一回の心拍で流れる血液が70ccに減っても、1分間に7000cc流すことは変えたくないんです、心臓は。
だからいつもよりたくさん動いて血液を流そうとします。
これが心拍数の増加です。
水分量の減少と心拍数の増加はセットで覚えるといいかもしれません。

まとめ

高温環境では水分がとても重要です。
また、汗として排泄されるナトリウムも補給することが大事です。

低温環境

熱産生と代謝アップ

低温環境では、高温環境と逆のはたらきが見られます。
寒いところにいると、体がぶるぶると震えますよね。
これは、熱産生を促進するために、筋肉が震えてエネルギー消費を増やしているためです。
他にも、アドレナリンなどのカテコールアミン甲状腺ホルモンなど代謝を上げるホルモンの分泌が促進され、基礎代謝があがります
代謝が上がると使えるエネルギーも増えるので、筋肉などの熱産生も上がるということです。
他には、熱を作る脱共役タンパク質が豊富な褐色脂肪細胞による熱産生も亢進します。

皮膚血管収縮

また、低温環境では皮膚血管が収縮します。
これは、代謝を上げるために分泌されたノルアドレナリンが血管平滑筋を収縮させるためです。
皮膚血管が収縮するので、その部分の血流は減少します。

ほんいつ
ノルアドレナリンはアドレナリン・ドーパミンと同様カテコールアミンの一つ。神経伝達物質です

まとめ

低温環境では熱産生のためにエネルギーを補給することが重要です。
糖質、脂質、タンパク質の他、それらの代謝に必要なビタミン類も摂取します。

コン
まあまあ…高温と低温はなんとなく理解できるかなあ
普段から馴染みのある環境だしね
ほんいつ
コン
皮膚血管ってのはポイントだよね。表面の血管だけってことでしょ
そうそう。血管全部じゃないから、注意しよう
ほんいつ

高圧環境

肺換気量

高圧環境というのは、海の深いところのように、体にかかる圧力が高いところです。
体が四方から押されているところを想像してみてください。
押されているので肺がふくらみにくくなり肺換気量が低下します。
吸って吐く空気の量が減るということです。

酸素&窒素中毒

高圧環境では空気の密度が高くなります。
つまり、
通常時と同じ体積でも空気が重くなっている=同じ体積にたくさん空気が詰まっている
ような感じです(あくまで以下を理解しやすくするためのイメージです)。
高圧環境では酸素分圧が高くなるため、酸素中毒に陥ることもあります。
酸素分圧というのは、気体に含まれる酸素の量のことです。
同じように窒素分圧も高くなるので、窒素中毒にも注意が必要です。

このような状況で、普通の気圧に戻ると血液に溶けていた窒素が気化することで気泡ができてしまいます。
これを減圧症潜函病などといいます。
関節症やむくみなどの症状がでます。

消費エネルギー増加

高圧環境では窒素の代わりにヘリウムガスを使ったりもしますが、ヘリウムガスは熱伝導率が高いため、体表面や呼吸による熱損失が増加します。
また、潜水による高圧状態は低温環境でもあるため、高圧環境では熱損失の増加による消費エネルギーの増加にも注意します。

まとめ

高圧環境では酸素・窒素中毒に注意します。
栄養的には、低温環境と同様にエネルギー摂取量を増やします。

低圧環境

酸素不足と脱水

低圧環境は、山の上など、「空気が薄い」イメージのあるところです。
酸素が足りないため、体に酸素を行き渡らせようと赤血球が増加します。
酸素は足りていないのに、酸素を運ぶ状態が整うので、酸素運搬能力は上昇します。
さらに、酸素を多く取り込もうと呼吸が増えます
呼気には水分が含まれるため、呼吸増加により水分が減少します。
また、口渇感を感じにくくなるため脱水を引き起こします。

まとめ

低圧環境は、イメージ通り「空気が薄い」ところがポイントです。
酸素が少ないため、嫌気的条件でエネルギー代謝が行える糖質摂取水分の補給が重要です。

コン
高圧・低圧はちょっとむずかしい
想像がしにくいよね。でも、高圧=潜水、低圧=登山でイメージしていいんじゃないかな
ほんいつ

無重力環境

体液シフト

無重力環境ではそれまで重力で下半身にあった血液が上半身にも分布するため、顔がむくみます。
このせいで、心臓に戻る血液がいつもより増えるため、体は循環血液量が増えたと勘違いしてしまいます。
増えた血液量(本当は増えてない)を減らそうと、尿量が増加します。

骨と筋肉が弱くなる

また、骨にかかる負荷が減るため骨が細くなります。
骨が細くなるときに溶け出したカルシウムは尿中に排泄されます。
重力に抗う必要がなくなるため、筋力への負荷も減り、筋肉も減ってしまいます。

まとめ

無重力環境では、骨や筋肉など組織の変化が大きいです。
いずれ重力のある環境に戻る以上、それらの組織をなるべく維持するのが望ましいといえます。
そのために、カルシウム補給、運動による筋力維持が重要です。

コン
骨や筋肉が弱るっていうのはよく聞くね
有名な話だね。体液が上にいっちゃうのも、理由をきくとなるほどと思うよね
ほんいつ
コン
体が「血液増えた!」って勘違いしちゃうのも、おもしろい

全体のまとめ

人間の体は環境が変わるとそれに対応して体のはたらきを制御します。
まずはどんな環境なのか、どんな影響があるのか想像してみましょう。

コン
「暑い→汗をかく」なら想像しやすいよね
そこから、汗をかくと水分が減る→水分が減ると循環血液も減る→…とつなげていけるといいかも
ほんいつ
コン
すべてつながらなくても、間違った選択肢を見たときに「なんか違くない?」と思えればOK!
そのとおり!
ほんいつ

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