





腎臓とは
腎臓は、お腹よりも少し高い位置の背中側にある臓器です。
そら豆のような形をしており、握りこぶしぐらいの大きさで、
重さは150g程度です。


肝臓があるため、右の腎臓のほうが少し下にあります。


腎臓は、腹部大動脈と下大静脈とつながっています。
腹部大動脈から流れてきた血液を素に尿を作り、下大静脈へ血液を流します。
腎臓のはたらきは、大きく言うと
「尿を作る」
ということです。
尿ができるまでの流れを見ていきましょう。
尿ができるまで
流れてきた血液は、糸でできた球のような形をしている
糸球体
と呼ばれる毛細血管を通ります。
糸球体は、ボーマン嚢に包まれています。
血液は、糸球体を通る間に濾過されてボーマン嚢へ流れます。
ここで行われるのは単なる濾過ですので、
分子の小さいものをボーマン嚢へ通して、
大きいものはそのまま静脈へ流していくという感じです。
濾過されたものは原尿と呼ばれ、尿の素となります。
動脈血の通る糸球体と、ボーマン嚢をあわせたものを腎小体と呼びます。
原尿は、近位尿細管、遠位尿細管を通り集合管へと流れていきます。



原尿が集合管へと流れる間に色んなものが再吸収、または原尿中へ分泌(=排泄)され、
尿ができあがります。
1日に作られる原尿は170Lほどと言われています。


つまり、原尿のほとんどが再吸収されている、ということです。


再吸収・分泌の過程で行われるのが
①水分・電解質調節
②不要物の排泄
③体液の調節
です。
それとは別に、腎臓は
④ホルモン調節の役割
も持ちます。
一つずつ見ていきましょう。
水分・電解質調節
水分や電解質が必要な時は再吸収、いらない時は原尿中に分泌することで、
腎臓は水分量と電解質のバランスを保っています。
水分は、近位尿細管、ヘンレループ、最後の集合管で再吸収されます。
電解質とは、Na+やK+、Cl-などです。
神経の働きや、体液の浸透圧などにかかわります。

Na+は、後に紹介するホルモンの働きにより、集合管でも再吸収されることがあります。
たくさん飲み物を飲んだあとは水分を多めに排泄したり、
汗をかいた後は水分を再吸収したりします。
電解質も同じように、体の状態に合わせて調節してくれます。


いらないものの排泄
水分や電解質は、ほとんどが再吸収されています。
再吸収されずに排泄されるものには、代謝産物である尿素やクレアチニン、
もともと人体には存在しないイヌリンなどがあります。
尿素はタンパク質の代謝産物です。
クレアチニンは筋肉で産生される代謝産物です。


血液pHの調節
血液のpHは、通常7.35~7.45の間で保たれています。
このような、酸と塩基のバランスが良い状態を酸塩基平衡といいます。
酸はH+を放出して、塩基はH+を取り込みます。
簡単にいうと、H+の多い状態が、酸が多い酸性、少ない状態が、塩基が多いアルカリ性ということです。



酸は、代謝によってできるので、体は酸性に傾きやすいと言えます。
ですので、体は酸が増えすぎないように様々な働きを持っています。
バランスを保つために3つの方法があります。
まずは、H+が増えた時、塩基がくっついてH+を減らす方法で、
緩衝系といいます。
次が、呼吸により二酸化炭素として酸を排出する方法です。
最後が、腎臓による調節です。
腎臓はH+を排泄して、塩基を再吸収することで、酸塩基平衡を保っています。


ホルモン調節
腎臓は、ホルモンを分泌する機能も持ちます。
腎臓から分泌されるホルモンで特に重要なのが
①レニン
②ビタミンD3
③エリスロポエチン
です。
レニン
レニンは、血圧を調整するホルモンです。
レニンが出ることで、血圧を上げるアンギオテンシンというホルモンが分泌されます。
RAA系と呼ばれる、血圧調節の重要なホルモン系です。

ビタミンD3
腎臓では、ビタミンD3を活性型ビタミンD3に変えることができます。
ビタミンD3は日光によって皮膚で作られます。
活性型ビタミンD3がホルモンのようにはたらきかけることで、
骨代謝や小腸でのカルシウムの吸収を促進します。
また、パラソルモンというホルモンのカルシウム吸収を強化します。
副甲状腺から分泌されるパラソルモンは、
血中カルシウム濃度が低下した時に分泌され、
腎臓でのカルシウム再吸収を促進します。
また、ビタミンD3の活性化も促します。

エリスロポエチン
エリスロポエチンは、血液を作るホルモンです。

赤血球の産生を促すホルモンです。
赤血球のもととなる赤芽球の分裂・増殖は
エリスロポエチンによって促進されます。
エリスロポエチンの分泌が少なくなると赤血球の産生が減るため、貧血になります。
腎臓が原因でおこる貧血なので、腎性貧血と呼びます。
まとめ
腎臓は多くのはたらきをもつ臓器です。
いろんなことに繋がる単語や仕組みばかりなので、
腎臓について知るだけで、対応できる問題はぐっと増えると思います。

