




体内の鉄って?
機能鉄と貯蔵鉄
鉄分というと、貧血予防や血液といった単語が連想される方も多いのではないでしょうか?
その通りで、体内の鉄分の約70%がヘモグロビンと結合して血管内を通り酸素を全身に運んでいます。
ヘモグロビンとして酸素とくっついたり、運んだりする鉄を機能鉄といいます。
ヘモグロビンのほかには筋肉中のミオグロビンや、鉄を運ぶトランスフェリンというたんぱく質も機能鉄に含まれます。
ミオグロビンは筋肉内から動かないので酸素を全身に運ぶのではなく、酸素を貯蔵しています。
トランスフェリンは鉄を運ぶため、輸送鉄ともいいます。
機能鉄の中で最も量が多いのはヘモグロビンです。
機能鉄と対になっているのが貯蔵鉄です。こちらは体内に貯蔵されている鉄で、多くはフェリチンとして肝臓に貯蔵されています。他にはヘモシデリンとして脾臓や骨髄に貯蔵されているものもあります。
貯蔵鉄が少なくなると、体は鉄をより吸収しようとするため、鉄の吸収率が高くなります。
体内の鉄のうち80%近くが機能鉄で、20%近くが貯蔵鉄となっています。





体内の鉄が少なくなると…?
鉄が少なくなると全身に酸素がいきわたらなくなり、頭痛や動機、息切れなどの症状がでます。
鉄がないとヘモグロビンも作ることができません。ヘモグロビンは赤血球の構成成分なので、赤血球も少なくなり、貧血となってしまいます。
鉄が少ないことで起きる貧血なので、鉄欠乏性貧血といい、一般に貧血というとこの鉄欠乏性貧血を指します。
鉄の種類
食材によって違う鉄の種類
鉄分は大切な栄養素ですが、摂取するときには注意が必要です。
レバーやホウレン草などが鉄を多く含む食材として有名ですが、実はそれぞれに含まれる鉄は種類が違います。
レバーに多く含まれるのはヘム鉄、ほうれん草に多く含まれるのは非ヘム鉄です。
二つの違いを見ていきましょう。
ヘム鉄
ヘム鉄はレバーや肉、魚など動物性食品に多く含まれます。
ヘム鉄は20~35%近くが吸収されます。ヘム鉄は二価鉄です。
ヘムというのはプロトポルフィリン IXと2価の鉄イオンとの錯化合物のことです。
つまり、ヘム鉄といったら二価鉄となります。
非ヘム鉄
非ヘム鉄はほうれん草などの植物性食品や、卵・乳製品に多く含まれます。
非ヘム鉄の吸収率は5%とかなり低いです。
動物性たんぱく質と一緒に摂取することで吸収率が上がります。
非ヘム鉄は三価鉄です。
鉄の吸収
二価鉄と三価鉄という言葉がでてきました。これらは鉄の吸収に大きくかかわってきます。
それでは鉄代謝を見ていきましょう。
鉄分と酸の関係
鉄分の含まれる食品を食べると、まずは胃に入ります。
二価鉄はそのまま吸収されるのですが、三価鉄はそのままでは吸収することができません。
ビタミンCや胃酸などによって還元されることで二価鉄になり、そこでようやく吸収される準備が整います。
鉄分はビタミンCと一緒に摂るといいといわれるのはこのためです。
すでに還元されている二価鉄(ヘム鉄)の場合はビタミンCによる吸収促進はありません。
鉄の行き先
二価鉄になった後は十二指腸や空腸上部から吸収されます。
そしてトランスフェリンと結合し、運ばれていきます。運ばれる先によって、鉄の働き方が変わります。
骨髄に運ばれた場合はヘモグロビンとして赤血球の一部となります。
肝臓に運ばれた場合は鉄を貯蔵します。



二価鉄と三価鉄の違い
二価鉄と三価鉄の大きな違いは吸収率です。
二価鉄(ヘム鉄)が還元を受けることなく吸収されるのに対し、三価鉄(非ヘム鉄)は還元されないと吸収されにくいです。
非ヘム鉄を吸収しやすくするには?
非ヘム鉄はビタミンC、動物性たんぱく質でと一緒に摂ることで吸収率が上がります。
また、クエン酸、乳酸は鉄が溶けやすくなり、吸収しやすくしてくれます。
鉄の吸収を妨げるもの
反対に、鉄の吸収を下げる働きをする成分もあります。
コーヒーや緑茶に含まれるタンニン、玄米や大豆に含まれるフィチン酸、葉菜類やコーヒーに含まれるシュウ酸などが鉄の吸収を阻害します。
またカルシウムや多すぎる食物繊維も鉄の吸収を阻害してしまいます。
特に非ヘム鉄は吸収阻害を受けやすいので注意しましょう。
まとめ
最後にヘム鉄と非ヘム鉄の違いをまとめましたのでそれぞれの違いを確認してください。
鉄の吸収促進
ビタミンC・動物性たんぱく質→還元反応による
クエン酸・乳酸→鉄を溶けやすくする
鉄の吸収阻害
タンニン
フィチン酸
シュウ酸
多すぎる食物繊維
カルシウム









