


ヒトの細胞の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
細胞膜は、たんぱく質と脂質から構成されています。
脂質ではリン脂質が一番多いですが、他にコレステロールや糖脂質が含まれています。
リン脂質は脂質二重層を構成する重要な成分です。
核では、遺伝情報の転写が行われる。
「翻訳」は、リボソームでたんぱく質が作られることです。
「転写」は、DNAからmRNA前駆体に遺伝情報がコピーされることです。
プロテアソームでは、たんぱく質の分解が行われる。
プロテアソームはたんぱく質分解酵素の複合体です。
ユビキチンというたんぱく質と一緒にたんぱく質を分解します。
プロテアソームとユビキチンによるたんぱく質分解を、ユビキチン-プロテアソーム系と呼びます。
ユビキチンが目印としてたんぱく質にくっつき、それを目印にやってきたプロテアソームがたんぱく質を分解します。
リボソームでは、たんぱく質の合成が行われる。
核で遺伝子の転写によりできたmRNA前駆体は必要な情報だけを取り出してmRNAとなります。
mRNAは核から細胞質へ移動し、リボソームにやってきます。
mRNAが示す塩基配列(コドン)に合わせて、コドンの反対の配列になっているアンチコドンを持つtRNAがアミノ酸を持ってきて、たんぱく質が合成されます。
アミノ酸とたんぱく質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
ロイシンは分枝鎖アミノ酸である。
ロイシンの他、バリン、イソロイシンが分枝鎖アミノ酸です。

GABAはグルタミン酸から作られる神経伝達物質です。
GABAは抑制性の神経伝達物質で、興奮した神経を鎮める働きを持ちます。
このことから、ストレスを和らげる作用があるといわれています。
機能性表示食品では、GABAについて「事務的な作業による一時的・心理的なストレスを提言する機能が報告されている」と記載があります。
αヘリックスは、たんぱく質の二次構造である。
たんぱく質の一次構造はポリペプチド鎖です。
二次構造にはαヘリックスというポリペプチド鎖がらせん状に巻かれた構造、βシートというポリペプチド鎖が屏風のようにたたまれた構造があります。
三次構造は二次構造が折りたたまれ、ポリペプチド鎖が立体的に構造されています。
これらのたんぱく質が複数集まってより複雑で大きなたんぱく質が作られます。この時のたんぱく質の種類や組み合わせを、四次構造と呼びます。
たんぱく質の三次構造は、ジスルフィド結合により形成される。
ジスルフィド結合は、システインとシステインが結合しているためS-S結合ともいいます。
たんぱく質の立体構造を安定させるために必要な、とても強い結合です。
たんぱく質の三次構造でみられます。
たんぱく質の四次構造は、複数のポリペプチド鎖により形成される。
1本のポリペプチド鎖により形成されるのは三次構造までです。
四次構造は、様々な構造のたんぱく質があつまってできているので、それらを構成するポリペプチド鎖も複数になります。
ホスファチジルコリン(レシチン)に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
複合脂質である。
複合脂質はリン酸、糖、たんぱく質からなる脂質です。
リン脂質や糖脂質、リポたんぱく質も複合脂質です。
ホスファチジルコリンは、グリセロリン脂質です。
滑面小胞体で合成される。
胆汁は、肝臓で作られ、胆嚢にためられており、十二指腸に注がれます。
消化酵素は含んでいませんが、脂質を乳化させて、膵液の消化酵素が働けるようにする役割を持ちます。
細胞膜の主要な有機成分である。
骨基質の主要な有機成分は、コラーゲンです。
ホスホリパーゼで分解される。
トリプシンはたんぱく質を分解する酵素で、膵液に含まれています。
酵素に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
アポ酵素は、単独で酵素活性をもたない。
ホロ酵素は、単独で酵素活性をもつ。
アポ酵素は、酵素の素になるたんぱく質です。
素なのでまだ酵素として働くことはできません。
そこへ補酵素や補欠分子がくっつくと、ホロ酵素になり、酵素として働くことができるようになります。
リン酸化により活性型になるグリコーゲンホスホリラーゼや、不活性型になるグリコーゲン合成酵素などがあります。

リパーゼは、中性脂肪を分解する。
リパーゼは中性脂肪をグリセロールと脂肪酸に分解します。

プロテインホスファターゼは、リン酸化されたたんぱく質を脱リン酸化する。
グリコーゲンホスホリラーゼは、グリコーゲンを分解する。
アミノ酸・糖質・脂質の代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
ドーパミンは、チロシンから生成される。
チロシン→ドーパ→ドーパミンという流れで生成されます。
ドーパミンからはノルアドレナリン、アドレナリンが生じます。
ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンはカテコールアミンの一種です。
糖新生によってグルコースに変換できるアミノ酸を糖原生アミノ酸と呼びます。
アセチルCoA、アセトアセチルCoAを生じ、脂肪酸やケトン体の材料となるアミノ酸をケト原性アミノ酸と呼びます。
中には両方の性質を持つアミノ酸もあります。
ヒスタミンは、ヒスチジンの脱炭酸反応によって生成される。
脱炭酸反応というのは、アミノ酸のカルボキシ基を外す反応です。
代表的なものだとチロシンからカテコールアミン、グルタミンからγ-アミノ酪酸が生じます。
ペントースリン酸回路は、NADPHを生成する。
ペントースリン酸回路は解糖系の側路です。
脂肪酸やステロイド合成に必要なNADPH、
核酸やヌクレオチド合成に必要なリボース5-リン酸を生成します。
ペントースリン酸回路ではATPは合成されませんので注意しましょう。
個体の恒常性(ホメオスタシス)に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
例えば、暑い時には体温が上がらないよう汗をかいて調節します。
インスリンとグルカゴンは、血糖の恒常性維持にはたらくホルモンです。
体の水分は、全体重の60%になるように保たれる。
体の水分は男性で約60%、女性で約55%です。
胎児が90%、新生児では75%、さらに高齢者では50%となっています。

動脈血のpHは、7.4になるように保たれる。
健康な人の動脈血のpHは7.35~7.45で、ほぼ中性です。
動脈血のpHは、呼吸による二酸化炭素の排出や腎臓による酸の排泄・重炭酸イオンの吸収などにより一定に保たれています。

交感神経と心筋の間の神経伝達物質は、ノルアドレナリンである。
脳から各器官へ、各器官から脳へ、などの情報伝達はニューロンが行っていて、
神経の途中には神経節というニューロンの切り替えポイントがあります。
神経節より前を節前線維、後を節後線維といいます。
節前線維と節後線維の神経伝達物質は交感神経も副交感神経もアセチルコリンです。
節後線維と各器官の神経伝達物質は、交感神経がノルアドレナリン、副交感神経がアセチルコリンとなっています。
フィードバック機構というのは、ホルモン分泌を調節するはたらきです。
Aという刺激によってBホルモンが分泌され、それによりCホルモンが分泌されるという一連の流れがあるとします。
Cホルモンの分泌がBホルモンの分泌を調節することがフィードバックです。
正のフィードバックは分泌が促され、負のフィードバックでは分泌が抑制されます。
正のフィードバックではオキシトシンが分泌されて子宮が収縮し、子宮が収縮することでさらにオキシトシンが分泌される例があります。
負のフィードバックにはコルチゾールと副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンの例があります。
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが分泌されると、副腎皮質刺激ホルモンが分泌されます。
副腎皮質刺激ホルモンが分泌されると、コルチゾールが分泌されます。
コルチゾールは、十分分泌されると副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンの分泌を抑制します。
そうすると、副腎皮質刺激ホルモンの分泌も抑制され、コルチゾールの分泌も抑制されます。
体温の日内変動では、夕方が最も高い。
体温は朝が一番低く、その後徐々に上がっていき夕方に最高となり、また下がっていきます。
炎症と腫瘍に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
急性炎症では、血管透過性は亢進する。
血管透過性というのは、血管壁の物質の通り抜けやすさです。
亢進すると、普段通り抜けられないたんぱく質などが血管壁を通り抜けてしまいます。
急性炎症では血管透過性が亢進し、たんぱく質や普段より多くの水分が滲出液として細胞や組織から染み出てしまいます。
滲出液は、腫れや浮腫の原因となります。
慢性炎症でみられる浸潤細胞は、主にリンパ球である。
浸潤細胞というのは、炎症が起きている組織へ広がっていく細胞のことです。
急性炎症では好中球、慢性炎症ではリンパ球、マクロファージが浸潤細胞となっています。
傷を治すために作られるコラーゲンを主とした組織です。
傷の修復や血管などの再生を行います。
じょくそうが治癒する過程でもみられます。
良性腫瘍は、悪性腫瘍と比べて細胞の分化度が高い。
分化度は、細胞の成熟度を示します。
分化度が高ければ、正常に働いている、つまり成熟しているということです。
分化度が低い場合は、きちんと働いていない、成熟していないということです。
分化度が低いほど、悪性度も高く、増殖しやすい傾向にあります。
肉腫は、非上皮性の悪性腫瘍である。
肉腫はサルコーマともいわれ、骨や筋肉、神経などの結合組織にできる悪性腫瘍です。
上皮性の悪性腫瘍は管腔臓器の内側に生じます。
非上皮性の肉腫に対し、がん・がん腫といわれています。
腺がん・扁平上皮がん・移行上皮がんなどが上皮性の悪性腫瘍です。
腺がんは胃や腸、肝臓、子宮体部や前立腺などに発生します。
扁平上皮がんは表皮や口腔内、食道や子宮頚部などに発生します。
移行上皮がんは膀胱や尿管などに発生します。
臨床検査に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
C反応性たんぱく質(CRP)の血中濃度は、炎症があると上昇する。
けがをしていたり、細菌感染していたりと、体内で炎症が起きていると高値を示します。
半減期は6時間と短く、炎症の度合いに敏感に反応します。
血中尿素窒素は、たんぱく質の異化亢進で上昇する。
血中の尿素に含まれる窒素を示しています。
たんぱく質を代謝すると尿素が生じます。腎臓が正常に働いていれば尿素は尿中に排泄されます。
尿素には窒素が含まれるので、窒素を測定します。
血中尿素窒素が高いと、腎臓の働きが悪くなっているか、たんぱく質の摂取が過剰になっているなどの原因が考えられます。
低い場合は、尿素を作る肝臓の働きが悪くなっているか、たんぱく質の摂取が少なくなっていると考えられます。
胆道が閉塞すると、血中で直接ビリルビンが優位に増加する。
ビリルビンは、寿命を迎えた赤血球が脾臓で破壊されることで発生します。

このビリルビンが、間接ビリルビンです。
間接ビリルビンは、アルブミンとくっついて肝臓に運ばれます。
肝臓で、グルクロン酸抱合を受けることで間接ビリルビンは直接ビリルビンになります。
直接ビリルビンは、胆汁中に含まれます。
間接ビリルビンが増える時は、溶血性貧血などで赤血球が破壊されている時、また肝機能が障害されるなどしてグルクロン酸抱合が行われていない時です。
直接ビリルビンが増える時は、グルクロン酸抱合後に直接ビリルビンを肝臓から外に出せないような、胆道系に障害がある時です。
白血球などの細胞の血液型をヒト白血球型抗原といいます。
元々は白血球の血液型として発見されたため、このような名前になっています。
この抗原は、自己とそれ以外の非自己を認識し、免疫機構として働いています。
そのため、臓器移植の場合ヒト白血球型抗原が一致していないと、拒絶反応などが起きてしまいます。
75g経口ブドウ糖負荷試験は、糖尿病の診断のために行う。
75gOGTTともいいます。
糖尿病の疑いのある人に対して行われます。
糖尿病の診断では、空腹時血糖値か随時血糖値、または75g経口ブドウ糖付加試験によって血糖値を評価します。
この試験では、早朝空腹時に75gのブドウ糖を溶かした液体を摂取し、2時間後までの血糖値を何度か測定します。2時間後の値が200mg/dl以上の場合、糖尿病型となります。


治療の種類に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

〇
疾病の原因そのものを完全に取り除く治療法。
胃がんの場合の胃全摘や虫垂炎での虫垂摘出などが当てはまります。
緩和療法は、QOL改善を目的としています。
精神的苦痛や肉体的苦痛を取り除きますが、その対象は患者だけでなく、その家族にも及びます。
がん性疼痛に対するモルヒネ投与は緩和療法です。


C型肝炎はウイルス感染による肝炎です。
主に血液で感染します。
慢性肝炎の70%がC型肝炎と言われています。
以前は輸血による感染がありましたが、現在はほとんどありません。
薬を使用し、ウイルスの増殖を抑制する治療法です。
抗ウイルス作用をもつインターフェロンを注射で補給しするインターフェロン療法や、経口薬による治療があります。
抗ウイルス療法は、原因療法の一種です。
急性胆嚢炎に対する胆嚢摘出は、手術療法である。

根治療法でもいいのではないかと思いますが、調べてもよくわかりませんでした。
保存療法でないことは間違いないので、正誤の判断に問題はありませんが、
解答の「手術療法」を見て疑問に思う方もいるのではないかと思います。
選択肢(1)の胃全摘も、手術療法でも正解だと思います。
根治療法の一つが手術療法なのかなと。
〇〇療法は正直分かりにくい問題です。
症状を抑えるのが対症療法です。
頭痛や腹痛、目の乾きなどに対し薬を使用するのは対症療法です。
先天性代謝異常症に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
主な先天性代謝異常にフェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、
ホモシスチン尿症、ガラクトース血症があります。
生後4~6日の新生児を対象に、新生児マススクリーニングという検査があります。
この検査によって、先天性代謝異常症を早期発見し、早期治療が可能となっています。
糖原病1型では、低血糖性の昏睡を生じやすい。

合成や分解などグリコーゲン代謝に関わる酵素の先天的異常により発症します。
糖原とは、グリコーゲンのことです。
1型ではグルコース6ホスファターゼ、またはグルコース6リン酸トランスロカーゼという糖代謝に関わる酵素が欠損することでグリコーゲンが肝臓や腎臓などに蓄積します。
低血糖や肝腫大、鼻出血などがみられます。
1型では、特に低血糖に注意が必要です。
フェニルケトン尿症では、フェニルアラニンが体内に蓄積する。
フェニルアラニン水酸化酵素の欠損により発症します。
フェニルアラニン水酸化酵素は、フェニルアラニンをもとにチロシンを合成する酵素です。
欠損することで、血中にフェニルアラニンが蓄積し、チロシンが不足します。
ホモシスチン尿症では、ホモシステインが体内に蓄積する。
ホモシスチン尿症では、シスチンが体内で減少する。
シスタチオニン合成酵素の欠損により、ホモシステインが蓄積し、その重合体であるホモシスチンが尿中に排泄される疾病です。

シスチンが合成されないので、低値となります。
分枝鎖ケト酸脱水素酵素の異常により、血中で分枝鎖アミノ酸や分枝鎖ケト酸が増加します。
ガラクトース血症では、乳糖除去ミルクが使用される。
ガラクトース1リン酸ウリジルトランスフェラーゼという酵素の欠損により発病します。
ガラクトースからグルコースへの代謝に必要な酵素なので、ガラクトースが体内に蓄積します。
消化管に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
食道は、気管の背側を通る。
胃底部は、胃体部よりも噴門側にある。

十二指腸には、腸間膜が付着しない。
腸間膜は、空腸・回腸を腹腔後壁から吊り下げている膜です。
ただ吊り下げているというだけでなく、血管や神経なども通っており、腸管へ血液や栄養を送っています。
十二指腸は腹腔後壁に埋め込まれているので、腸間膜に吊り下げられていません。
回腸は、十二指腸と空腸の後にある。
(5)の解説に、図が載っています。
消化器系がんとそのリスク因子の組合せである。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
食道がん-飲酒、喫煙など
日本では扁平上皮がんが多く、喫煙や飲酒が原因となります。
腺がんでは逆流性食道炎が原因となります。
食道がんでは粘膜内にとどまるものを早期食道がん、粘膜下層まで及ぶものを表在食道がん、さらに深くまで及ぶものを進行食道がんと呼んでいます。
初期は自覚症状がない場合が多く、がんが進行するにつれ、胸の違和感や飲食物がつかえる感覚、胸の痛み、体重減少などの症状が出ます。
アスベストは天然の鉱物線維です。かつては工業製品に使用されていましたが、発がん性が問題となり、今は使用が禁止されています。
アスベストを吸ってしまうことで、肺が線維化する石綿肺、胸膜や腹膜にできる悪性腫瘍である悪性中皮腫、肺がんのリスクが高まります。
胃がん-喫煙、ヘリコバクター・ピロリ菌感染など
胃がんは上皮性の悪性腫瘍です。
90%以上が腺がんで、ヘリコバクター・ピロリ菌などが原因になります。
また、喫煙や塩分の摂りすぎ、加齢などもリスク因子となります。
胃がんは、粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に広がっていきます。
粘膜下層まででとどまっているものが早期胃がん、固有筋層以下にがんが浸潤したものが進行胃がんとなります。
胃がんは自覚症状が少なく、進行しても症状が出ない場合もあります。
症状としては胃の痛みや胸やけ、吐き気、食欲不振などがあります。
また、胃からの出血で貧血や黒い便などが出ることもあります。
アフラトキシンはナッツ類や穀類、とうもろこしなどにできるカビが作る毒です。
強い発がん性があり、肝がんや急性の肝臓機能障害など、主に肝臓に障害を与えます。
肝細胞がん-B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アフラトキシンなど
肝細胞がんは、肝細胞ががん化した悪性腫瘍です。
肝細胞がんの多くはB型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルスが原因となります。
その他アフラトキシンや飲酒、喫煙なども原因の一つです。
肝細胞がんは再発率が高いがんです。初期症状は少なく、進行した場合に腹部の圧迫感や痛みを感じます。
ヒトパピローマウイルスは、子宮頸がんの原因となるウイルスです。100種類以上の型があり、種類によって膣がんや尖圭コンジローマにも関わりを持ちます。
性経験のある女性では80%以上が感染するといわれており、多くは自己免疫により自然に排除されています。
膵がんは膵臓にできるがんのことですが、その多くが膵管上皮から発生しています。
喫煙、飲酒や家族歴、糖尿病や慢性膵炎などの合併症が原因となります。また、塩素化炭化水素(クロロホルム)を扱う職業も原因になります。
症状があまり出ず、がんが進行すると腹痛や食欲不振、黄だん、腰や背中の痛みなどが出てきます。また、膵臓ではインスリンを分泌するため、膵がんにより糖尿病を発症することもあります。
結腸がん-家族歴、食生活、飲酒、喫煙など
結腸に生じるがんのことです。ポリープががん化するもの、粘膜から発生するものがあります。
潰瘍性大腸炎やクローン病の既往がある場合、結腸がんのリスクが高まります。
家族歴や肉中心などの欧米型の食生活、飲酒、喫煙も結腸がんのリスク因子です。
進行すると便に血液が混ざる、下痢や便秘、腹部膨満、嘔吐などが症状として出てきます。
EBウイルスは、ヘルペスウイルスの一種です。
EBウイルスに感染してもほとんどは無症状ですが、のどの痛みや発熱、リンパ節腫脹など風邪のような症状を呈する伝染性単核症を引き起こす場合もあります。
発がん性があり、上咽頭がんや悪性リンパ腫の発生に関わっています。
循環器系に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
心臓血管中枢は、延髄にある。
延髄は、間脳、中脳、橋とともに脳幹を構成しています。
延髄には、他に呼吸中枢、嚥下中枢、血管運動中枢などがあります。
三尖弁は、右心房と右心室の間にある。
洞房結節は、右心房にある。
静脈は、動脈よりもやわらかく、伸びやすいため、血液が貯留しやすくなっています。
循環血液量の約75%が静脈系を流れており、静脈系は容量血管ともよばれています。
心電図のQRS波は、心室の興奮を示す。
心電図に関する用語は大体の意味を覚えておきましょう。
P波・・・心房の興奮
QRS波・・・心室の興奮
T波・・・心室が興奮し、元に戻る
ST部分・・・心室全体が興奮している
QT・・・心室の興奮時間

高血圧に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
レニンは、腎臓の糸球体から分泌される酵素です。
血圧低下や循環血液量減少、交感神経の興奮などによりレニン分泌は促されます。
レニン分泌から始まるRAA(レニン-アンギオテンシン-アルドステロン)系の一連の反応は血圧上昇に働きます。
血圧が上昇すると、ネガティブフィードバックによりレニン分泌は抑制されます。

副交感神経の興奮は、血圧を低下させる。
交感神経の興奮は、血圧を上昇させる。
交感神経と副交感神経は自律神経を構成しており、交感神経は興奮時やストレスがかかっている時に働きます。
副交感神経はリラックスしている時、休んでいる時に働きますが、それぞれ優位になったときの機能が異なります。
瞳孔・・・交感神経により散大、副交感神経により縮小
心拍数・・・交感神経により増加、副交感神経により減少
血圧・・・交感神経により上昇、副交感神経により低下
気管・・・交感神経により拡張、副交感神経により収縮
消化管運動・・・交感神経により抑制、副交感神経により促進
唾液は交感神経、副交感神経どちらが優位な場合でも分泌されます。
分泌される唾液の質が変わります。
交感神経が優位なときは殺菌作用をもつ酵素であるリゾチームなどを含むねばねばした唾液が分泌されます。
副交感神経が優位なときはアミラーゼによる消化のため、また食べ物を食道や胃に運ぶためさらさらとした唾液が分泌されます。
孤立性収縮期高血圧は、高齢者に多い。
孤立性収縮期高血圧は、収縮期血圧だけが高く、拡張期血圧は高くない場合をいいます。
動脈硬化の進んだ高齢者によくみられます。
仮面高血圧は、診察室血圧が正常で、家庭血圧が高血圧であるものをいう。
白衣高血圧は、診察室血圧が高血圧で、家庭血圧が正常であるものをいう。
病院など医療機関で測定した血圧は正常なのに、家庭での血圧が高い場合を仮面高血圧といいます。
降圧剤などによる治療を行っている人に多いといわれています。
仮面高血圧と逆で、医療機関で血圧を測ると高値を示し、家庭では正常値となる場合を白衣高血圧といいます。
高齢者や緊張しやすい人に多いです。
二次性高血圧は、本態性高血圧よりも患者数が少ない。
原因となる疾患がなく、遺伝因子と生活習慣が原因となり生じる高血圧を本態性高血圧といいます。
高血圧患者の90%以上が本態性高血圧です。
何かの疾患が原因となり生じる高血圧を二次性高血圧といいます。
腎性高血圧症や内分泌性高血圧症が、二次性高血圧にあたります。
腎性高血圧症には腎実質性高血圧と腎血管性高血圧があります。
腎実質性高血圧では糖尿病性腎症などが原因となりレニンが不適切に分泌されたりナトリウム排泄が障害され体液が貯留して高血圧となります。
腎血管性高血圧では腎動脈が狭くなることで腎血流が少なくなり、血圧を上昇させようとレニン分泌が促進されて高血圧となります。
内分泌性高血圧症は、原発性アルドステロン症やバセドウ病、クッシング症候群など内分泌疾患が原因となります。
腎・尿路系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
糸球体を流れる血液は、動脈血である。
ボーマン嚢は、糸球体を納めている。
糸球体は、ボーマン嚢の中にある。
尿管は、腎盂から膀胱までの尿路である。

原尿は、ボーマン嚢に溜まる尿である。
糸球体で血液が濾過され、ボーマン嚢に溜まったのが原尿です。
原尿は、その後尿細管などを通り水分や電解質などを再吸収され、濃縮されて尿となり膀胱に溜められます。
原尿は一日に150Lほど作られ、尿は1~1.5Lとなります。

浸透圧は水分摂取と抗利尿ホルモンにより調節されています。
水分が不足すると血漿浸透圧は上昇します。血液から水分が減り、濃くなるイメージです。
すると抗利尿ホルモンが分泌され、尿細管での水分の再吸収が促進されます。
再吸収された水分で血漿浸透圧は低下し、代わりに水分が減るので尿の血漿浸透圧は上昇します。
濃縮尿は、浸透圧が高いというわけです。
尿の浸透圧は50~1300 mOsm/kg・H2Oの範囲で変動します。

血漿浸透圧は280~290mOsm/kg・H2Oの範囲で変動します。
ホルモンと分泌部位の組合せである。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
成長ホルモン-下垂体前葉
成長ホルモンは脳下垂体前葉から産生・分泌されます。
思春期に多く分泌され、骨や筋肉、心臓の成長を促進します。
また、代謝や脂肪分解を促進する働きもあります。
脂肪分解を促進し、遊離脂肪酸が増えるのでインスリンの作用は低下し、血糖値上昇が促進されます。

オキシトシンは視床下部で産生され、下垂体後葉から分泌されます。
子宮を収縮させて分娩を促進させたり、乳児の吸てき刺激に反応して乳腺の腺房の筋肉を収縮させて射乳をおこします。
プロラクチン-下垂体前葉
脳の下垂体前葉で産生・分泌されるホルモンです。
妊娠により分泌が増え、乳汁の産生が促進されます。
プロラクチン分泌は、視床下部から分泌されるドーパミンにより抑制され、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンにより促進されます。
ノルアドレナリン-副腎髄質
ノルアドレナリンは副腎髄質から分泌されるホルモンです。
神経伝達物質としては交感神経の節後線維から分泌されます。
血圧上昇や心拍数増加に働きます。
副腎髄質では他にもカテコールアミンを分泌しており、交感神経の働きが亢進すると、分泌も促進されるようになっています。

アルドステロン-副腎皮質
副腎皮質から産生・分泌されます。
腎臓でレニンの分泌が増加すると、アルドステロンの分泌も増加します。
アルドステロンは、腎臓の遠位尿細管や集合管に作用してナトリウムの再吸収を促進します。また、カリウムと水素の尿中への排泄を促進します。
その結果、血圧は上昇します。
内分泌疾患の主な症候に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
副甲状腺機能低下症では、テタニーがみられる。
クッシング症候群は、副腎皮質から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になることで生じます。
コルチゾールが過剰になる原因には、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の過剰分泌や、下垂体腺腫という脳の下垂体に生じる腫瘍などがあげられます。

コルチゾールは糖新生やたんぱく質代謝、脂肪分解など代謝促進や抗炎症作用を持ち、ステロイド系炎症薬などにも利用されています。
クッシング症候群症状
①顔面や体幹に脂肪がつき、四肢がやせ細る満月様顔貌、中心性肥満、野牛肩
②ナトリウム、水分が体内に貯留するための浮腫、高血圧
③骨形成抑制、ビタミンD作用抑制などによる骨粗しょう症
④糖新生亢進、インスリン抵抗性増大による糖尿病
⑤皮膚が薄くなり、腹部に赤紫の皮膚線条ができる
⑥うつ傾向や月経不順
副腎腫瘍がある場合は、アンドロゲンが過剰分泌されます。

アンドロゲン過剰分泌により、多毛やにきびといった症状が表れます。
副甲状腺機能低下症では副甲状腺ホルモンの分泌が低下します。
副甲状腺ホルモンは骨吸収を促進し、血中カルシウムを上昇させます。
副甲状腺機能低下症症状
①低カルシウム血症
②高リン血症


甲状腺機能亢進症では、体温上昇がみられる。
甲状腺機能亢進症では、甲状腺機能が亢進し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。
甲状腺ホルモンは代謝や臓器の働きを活発にします。
そのため、甲状腺機能亢進症ではエネルギーがどんどん使われたり、心拍数が上がったりします。
甲状腺機能亢進症の症状
①エネルギー消費量増大、食欲亢進、体重減少
②筋力低下、易疲労感、手指振戦
③収縮期血圧の上昇、脈が速くなる、動悸
④多汗、暑がり、体温上昇
⑤無月経や過少月経などの月経異常
⑥腸蠕動運動が亢進することによる腹痛、下痢
甲状腺機能亢進症の代表的なものがバセドウ病です。
バセドウ病は20~40代の女性に多く、上記症状に加えて眼球突出やびまん性甲状腺腫などがみられます。

褐色細胞腫では、高血糖がみられる。
副腎髄質に生じる、カテコールアミンを産生する腫瘍です。
カテコールアミンであるアドレナリンやノルアドレナリンなどが過剰分泌されます。
そのため、高血圧や高血糖、動悸や発汗などの症状を呈します。
糖尿病や脂質異常症を併発することがあります。
コルチゾールやアルドステロン、アンドロゲンなどの副腎皮質ホルモンの分泌が低下します。
低血糖や低ナトリウム血症、高カリウム血症、低血圧などの症状が表れます。
また、易疲労感や筋力低下、無月経などもみられます。
尿崩症では、低張尿がみられる。
バソプレシンの分泌低下により起こります。
バソプレシンは下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンです。
腎臓の尿細管に作用して水分を再吸収します。
それにより尿は濃縮され、尿量が減少します。
バソプレシンが低下すると、尿を濃縮できなくなります。
そのため尿量が増加し、体の水分が多量に排泄されてしまいます。
薄い尿が出るので、尿の浸透圧は低下し、低張尿となります。
逆に体の水分が減るので血漿浸透圧は上昇します。
迷走神経に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
咽頭や喉頭部の筋肉を支配しており、嚥下や発生運動に関わります。
また、脳神経の中で唯一腹部に達する神経であり、副交感神経も含むため、消化活動の促進など胸腹部の内臓機能も司っています。
迷走神経の興奮で唾液分泌や消化管活動が促進されます。
心拍数は低下し、気管支は収縮します。
脳神経である。
迷走神経は、第10脳神経です。
興奮により、胃酸分泌が促進される。
迷走神経は、脳神経の中で唯一腹部に達する神経です。
副交感神経も含んでいるので、消化活動の促進に関わっています。
興奮により、心拍数が減少する。
迷走神経は、胸腹部だけでなく心臓や頸部、喉などにも分布しています。
副交感神経を含んでいるため、同様のはたらきを持ちます。
興奮により、胆嚢が収縮する。
胆嚢が収縮すると胆汁が十二指腸に注がれます。
胆汁は脂肪を乳化し、消化酵素が働きやすくなるようにしてくれます。
胆嚢には副交感神経が分布しており、迷走神経の興奮で収縮します。
肺の構造、呼吸機能および酸素の運搬に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
右肺は、3葉からなる。
心臓が左側にあるので、左肺の方が小さくなっています。
肺静脈には、動脈血が流れている。
青が静脈血、赤が動脈血です。
肺動脈を流れる静脈血は、肺で酸素を受け取り、動脈血になって肺静脈に入ります。

肺胞で行われるガス交換を、外呼吸という。
肺の酸素と血液の二酸化炭素を交換することを外呼吸、血中の酸素と組織の二酸化炭素を交換することを内呼吸といいます。

動脈血の酸素飽和度は、約96~99%である。
動脈血の酸素分圧と、酸素と結合しているヘモグロビンの割合を表したグラフをヘモグロビンの酸素解離曲線といいます。
ヘモグロビンの酸素解離曲線は、S字形となります。
曲線は温度,pH,二酸化炭素濃度などにより移動します。
温度、二酸化炭素濃度が下がり、pHが高くなると左に移動し、
温度、二酸化炭素濃度が上がり、pHが低くなると右に移動します。
※動脈血の酸素分圧は、動脈血の酸素含量を示す指標です。
運動器に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
腰椎は、5個である。
脊柱を構成する椎骨のうち、腰のあたりに位置するものを腰椎と呼びます。
脊柱は頭側から
頸椎…7個
胸椎…12個
腰椎…5個
仙椎…5個
尾椎…3~6個
というように並んでいます。
舌運動は、舌下神経支配である。
舌咽神経は第9脳神経です。
舌の後ろ(根本側)1/3の触覚や味覚・温痛覚、喉頭筋による嚥下運動、耳下腺の唾液分泌を支配しています。
舌下神経は第12脳神経です。
外舌筋、内舌筋の運動を支配しており、舌の運動を司っています。
咬筋は、三叉神経支配である。
顔面神経は第7脳神経です。
表情筋を支配しており、顔の表情を作ります。
また、涙腺や唾液腺の分泌も調節しています。
舌の前2/3の味覚を支配しています。
三叉神経は第5脳神経です。
眼神経、上顎神経、下顎神経に分布します。
舌の前2/3の温痛覚・触覚を伝え、咀嚼筋を支配しているので咀嚼運動を司ります。
また、顔面の皮膚や鼻や口腔粘膜の感覚も伝えています。
筋が収縮する際は、筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。
筋収縮はアクチンフィラメントとミオシンフィラメントという筋線維が動くことで起こります。
筋肉を収縮させるよう命令が出ると、筋細胞が興奮し、筋小胞体からカルシウムイオンが放出されます。
カルシウムイオン濃度が上昇すると、アクチンフィラメント上にあるトロポニンという物質にカルシウムイオンがくっつきます。
するとアクチンフィラメントがミオシンフィラメントの方へ滑り、筋肉が収縮します。
筋収縮、つまりアクチンフィラメントが滑るときのエネルギーはATPの分解によって得られます。
脳・脊髄→運動神経線維(アセチルコリン放出)→筋細胞(アセチルコリン受け取り、活動電位が生じる)
↓
筋小胞体からカルシウムイオン放出
↓
細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇
↓
アクチンフィラメント上のトロポニンにカルシウムイオンがくっつく
↓
アクチンフィラメントが滑って筋収縮
妊娠、分娩および乳汁分泌に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
妊娠0週0日は、最終月経開始日である。
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は、黄体を維持する。
胎盤の絨毛組織から分泌されるホルモンです。
妊娠初期から血中濃度が上昇し、10週前後にピークを迎えます。
黄体に作用し、プロゲステロンの産生を促すことで妊娠を維持させます。

インスリンは、母体から胎児へ移行しない。
インスリンは、血糖値を低下させるホルモンです。
膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されます。
血糖値が上昇すると分泌が促進され、グルコースを筋・肝臓・脂肪組織に取り込みます。
胎児は胎児の体でインスリンが分泌されています。
インスリンには他に肝臓でのグリコーゲン合成や脂肪・たんぱく質の合成作用があります。
成長促進作用もあるため、母体の血糖値が高い状態が続くと胎児も血糖値が高くなり、インスリン分泌が促進されることで巨大児となる場合があります。
インスリンは、母体から胎児に移行しないので、妊婦の糖尿病治療ではインスリン注射による治療が選択されます。
オキシトシンは視床下部で産生され、下垂体後葉から分泌されます。
子宮を収縮させて分娩を促進させたり、乳児の吸てき刺激に反応して乳腺の腺房の筋肉を収縮させて射乳をおこします。
プロラクチンは、乳汁産生を促進する。
脳の下垂体前葉で産生・分泌されるホルモンです。
妊娠により分泌が増え、乳汁の産生が促進されます。
赤血球に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
赤血球は、中央がへこんだ円盤状の構造をもつ。
赤血球は、直径7~8μmで、中央がへこんだ円盤状をしています。
核を持ちません。
形を変えられるので、毛細血管にも行くことができます。
赤血球には血色素であるヘモグロビンが含まれています。
ヘモグロビンに含まれるヘムという鉄が酸素とくっつくので、赤血球は酸素を全身に運び、さらに二酸化炭素を回収しています。
ABO型血液型がO型の場合、赤血球の表面にはA抗原もB抗原も発現しない。
ABO血液型がAB型の場合、赤血球の表面にはA抗原とB抗原が発現している。
ABO血液型では、血液型はA、B、O、ABの4つに分類されます。
赤血球には抗原があり、それが何を示しているかで血液型が分かります。
赤血球の抗原がAの場合血液型はA型となり、血清中の抗体は抗Bとなります。
つまり、A型の人にB抗原が入ってきたら、抗Bがやっつけるというわけです。
赤血球の寿命は、約4か月(120日)である。
赤血球の寿命は約120日で、寿命がくると脾臓で破壊されます。
網赤血球は、幼若な赤血球である。
腎臓で産生・分泌されるエリスロポエチンというホルモンが骨髄に作用し、赤血球は作られます。
①造血幹細胞②全赤芽球③赤芽球→(脱核)④網赤血球⑤赤血球
このような流れで赤血球は出来上がります。
低酸素環境下では、体が酸素不足を感じ、全身に酸素を行き渡らせようと赤血球数やエリスロポエチンが増加します。
血液疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
血友病では、プロトロンビン時間(PT)は正常である。
血友病は伴性劣性遺伝により、基本的に男性にのみ発症します。

女性はX染色体を2本持っているので、どちらかに異常があってももう片方でその働きを補うことができるため、異常を持ちつつ発症しない保因者となります。
血友病では内因系の凝固因子の一部が欠乏していたり、正常に働けないために血液凝固異常をきたす疾病です。
体の深部で出血しやすく、特に肩やひじ、ひざなどの関節や下肢筋肉で出血しやすくなります。
プロトロンビン時間は、血漿にトロンボプラスチンとカルシウムイオンを加えて、フィブリンができるまでの時間のことです。

血液凝固因子能の中でも、外因系凝固因子についての検査です。
血友病では内因系凝固因子に異常があるので、プロトロンビン時間は正常です。
内因系凝固因子についての検査には活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が用いられます。
こちらも血漿に試薬を入れてフィブリンが出るまでの時間を測ります。
再生不良性貧血では、骨髄が低形成を示す。
再生不良性貧血では、造血幹細胞が傷ついたり、異常が起きたりして血液を作れなくなる貧血です。
赤血球だけでなく白血球や血小板も減少します。
そのため易感染性や出血傾向がみられます。
先天性、化学物質や放射線、ウイルスなどが原因となります。
骨髄は、骨の中心部にある海綿状の組織です。
骨髄では造血幹細胞をもとに赤血球や白血球、血小板を作っています。
悪性貧血では、内因子の作用が低下する。
悪性貧血は、巨赤芽球性貧血の一種です。
ビタミンB12と葉酸はDNA合成に必要なビタミンで、不足すると赤芽球がきちんと赤血球になることができず、赤芽球のまま、体だけ大きくなります。これを巨赤芽球と呼び、巨赤芽球が増えて起こる貧血を巨赤芽球性貧血と呼びます。
胃で分泌されるキャッスル内因子が低下することでビタミンB12が不足している場合があります。
キャッスル内因子はビタミンB12を吸収しやすくするので、低下することでビタミンB12が不足し巨赤芽球性貧血を引き起こします。
内因子の低下の原因には自己免疫性の胃粘膜萎縮と胃全摘があります。
中でも自己免疫性の胃粘膜萎縮による巨赤芽球性貧血を、悪性貧血と呼んでいます。

鉄欠乏性貧血では、総鉄結合能(TIBC)が上昇する。
ヘモグロビンには鉄が含まれます。
この鉄が少ないためにヘモグロビンを作れず、鉄欠乏性貧血となります。
貧血の中でも鉄欠乏性貧血は患者数が最も多く、そのほとんどが女性です。
重度の鉄欠乏性貧血では爪がへこむスプーンネイルという症状がみられることもあります。
鉄欠乏性貧血では、総鉄結合能が上昇します。
総鉄結合能は、トランスフェリンという鉄を貯蔵・運搬するたんぱく質と結合できる鉄の量を示しており、体内のトランスフェリンの総量を反映しています。
体内の鉄が不足していると、トランスフェリンと鉄を結合しやすくするためにトランスフェリンが増え、総鉄結合能が上昇します。
播種というのは、種まきのことです。播種性というのは種をまくように全身に広がっていくという意味です。
播種性血管内凝固症候群の基礎疾患には急性白血病や固形がんなどの悪性腫瘍や敗血症があげられます。
播種性血管内凝固症候群では全身の様々な血管で血栓ができてしまいます。
その血栓を溶かすために線溶が亢進します。

さらに、血栓を作るために凝固因子や血小板が使われてしまうことでも出血傾向を引き起こします。

播種性血管内凝固症候群では、PT・APTTが延長し、フィブリノーゲンという凝固因子が減少します。
また、フィブリン/フィブリノーゲン分解産物が上昇します。


Dダイマーは線溶系で分解された血栓の量を反映するので、血栓症の検査などで利用されます。
免疫・生体防御に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
唾液は唾液腺で血液をもとに、1日に1~1.5リットルほど作られます。
唾液にはアミラーゼという酵素が含まれ、でんぷんを分解します。
また、唾液には分泌型IgAが含まれ、局所免疫として働きます。
IgAは免疫グロブリンの一種です。
口腔内や腸管など粘膜上に分泌されます。
また、母乳にも含まれる免疫物質で、特に初乳に多く含まれます。
IgAには血中に存在する血清型もあります。

B細胞は、骨髄で成熟する。
T細胞は、胸腺で成熟する。
B細胞は骨髄で産生され、そのまま骨髄で分化・成熟してリンパ節に移動します。
T細胞は骨髄で産生され、胸腺で分化・成熟してリンパ節に移動します。
形質細胞は、免疫グロブリンを産生する。
T細胞はリンパ球の一種です。
T細胞にはヘルパーT細胞、キラーT細胞の2種類があり、それぞれ働きが異なります。
ヘルパーT細胞は樹状細胞やマクロファージからの抗原提示を受け、B細胞やマクロファージを活性化します。
キラーT細胞は抗原提示を受けたあと、ウィルスに感染した細胞を壊します。

形質細胞はB細胞が分化したもので、抗体を産生します。
B細胞が作る抗体が、免疫グロブリンです。

アナフィラキシーショックは、IgEが関与する。
肥満細胞にあるIgEに抗原が結合することでヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されることで起きます。
これがⅠ型アレルギーの機序で、即時型・アナフィラキシー型ともいいます。
ヒスタミンは血管拡張や血管透過性亢進の作用を持ち、循環血液量を急激に低下させます。
それにより血圧が低下し、ショックを起こします。
Ⅰ型アレルギーには食物アレルギーや気管支喘息、花粉症などが含まれます。
ワクチン接種による免疫は、能動免疫である。
外から抗体をもらって得られる免疫を受動免疫といいます。
母体から胎児へIgGが移行するのは受動免疫です。
逆に、ワクチンや細菌などの抗原が体内に入り、抗体を作る免疫は能動免疫といいます。
自己免疫疾患とその特徴的な症候の組合せである。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
それにより生じる疾患を自己免疫疾患と呼びます。
自己免疫疾患の一つに膠原病があり、全身の筋肉や関節、皮膚、血管などに炎症が起きてしまいます。
患者は女性が多く、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、シェーグレン症候群などが膠原病に含まれています。
強皮症-食道蠕動の低下
強皮症は全身性硬化症ともいい、皮膚だけでなく心臓や肺、腎臓、消化管などの内臓までもが線維化してしまいます。
膠原病の一つです。
強皮症の症状
①食道の蠕動運動が障害されることによる嚥下障害
②肺線維症による呼吸困難
③表情が乏しくなる仮面様顔貌
④手や皮膚が浮腫み、硬くなる(浮腫性硬化)
⑤寒さや精神的ストレスをきっかけに指の血流が悪くなり、白や紫になった後、血流が戻ると充血により赤くなるレイノー現象
⑥心膜炎や不整脈
⑦腎臓の血管が障害され、高血圧を生じる強皮症腎クリーゼ
シェーグレン症候群-涙液分泌の低下
涙腺や唾液腺などの外分泌腺に炎症が起こり、各部の分泌液が分泌されず、乾燥します。
膠原病の一つです。
目の症状:結膜炎や視力低下
口腔内の症状:う歯、口内炎、舌炎、味覚異常
その他:鼻の乾燥、性交痛
バセドウ病-頻脈
甲状腺機能亢進症の一つです。
20~40代の女性に多い疾患です。
甲状腺ホルモンが過剰になることで代謝が活発になります。
それによりエネルギー消費量が増大したり、体重減少、多汗・暑がりや動悸、手指振戦、易疲労感などの症状が出ます。
特徴的なのはびまん性甲状腺腫、眼球突出です。
びまん性甲状腺腫では甲状腺機能が高まることで甲状腺が腫れたり、動悸や目の症状が起こります。
眼球突出では、眼窩内圧が高くなり、眼球が前に押し出されます。
橋本病-皮膚の乾燥
慢性甲状腺炎ともいいます。
慢性的に甲状腺に炎症が起きており、血中に甲状腺に対する自己抗体が認められます。
罹患者のうち80%ほどは甲状腺機能が正常に保たれていますが、進行すると甲状腺機能低下症となる場合があります。
甲状腺機能が低下した場合の症状
①皮膚乾燥、発汗低下
②思考力低下、無関心
③眼瞼浮腫
④徐脈
⑤月経過多
遺伝素因とウイルス感染やケガ、紫外線、妊娠・出産など環境がきっかけとなり自己抗体が産生されることで発症します。
女性に多いことから、性ホルモンの関与も考えられています。
皮膚や関節、内臓、中枢神経など全身に症状がでます。
全身性エリテマトーデスの症状
①光線過敏症
②頬にできる、赤い蝶のような形の蝶形紅斑
③顔面や上腕、体幹などにできるかさかさした丸い紅斑(円板状皮疹)
④関節炎
⑤腎障害によるループス腎炎(SLEによる糸球体腎炎)
⑥口腔内潰瘍
⑦うつ、妄想などの精神症状やけいれんといった神経症状
⑧発熱
⑨寒さや精神的ストレスをきっかけに指の血流が悪くなり、白や紫になった後、血流が戻ると充血により赤くなるレイノー現象
感染症に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
ニューモシスチス肺炎は、真菌感染症である。
ニューモシスチス・イロベチイという真菌による日和見感染症です。
HIV感染やステロイド投与、悪性腫瘍などがリスク因子となります。
発熱や乾性咳嗽、呼吸困難などの症状があります。

ツツガムシ病は、日和見感染症でない。
ツツガムシ病は、ツツガムシが媒介するリケッチアという細菌による疾患です。


ダニの活動期間に合わせて、春~初夏、秋~初冬に発生します。
日和見感染症は、HIV感染や膠原病、悪性腫瘍などで免疫が低下した状態のときに、健康な状態では感染を起こさないような弱い病原体が原因で発症する感染症のことです。
カンジダやニューモシスチスなどの真菌やトキソプラズマ、結核菌などが日和見感染症を引き起こします。
再興感染症は、感染者がほとんどいなくなった感染症で、感染者が再び増えてきたものである。
再興感染症は、以前から存在していた感染症で、予防接種などにより患者がほとんどいなくなっていたのに、環境の変化などにより再び増加し始めた感染症のことです。
結核やデング熱、コレラ、マラリア、ジフテリアなどがあります。
不顕性感染は、感染しているが症状が出ていないものをいう。
感染しているものの、症状が出ていないことをいいます。
不顕性感染者は保菌者となり、他の人を感染させる可能性があります。
病原体が母から子に感染することです。母子感染ともいいます。
胎内、産道、母乳を介して感染します。
風疹やトキソプラズマ、HIV、梅毒、B型肝炎などがあげられます。