




コレステロールのはたらき
①生体膜の構成成分
②胆汁酸の材料
③ステロイドホルモンの材料
④ビタミンDの前駆体??
コレステロールは、上記のような3つのはたらきを持ちます。
さらに、コレステロール生合成の中間代謝物がビタミンDの前駆体なので、
コレステロールのはたらきにビタミンDの前駆体というのが入っていることもあります。

コレステロール値が高くなると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります。


生体膜の構成成分
生体膜は、主にたんぱく質と脂質からできています。
脂質の中でもリン脂質が主成分となっており、他にコレステロールや糖脂質が含まれています。

生体膜は外側が親水性、内側が疎水性の脂質二重層となっています。
そのため、水溶性物質はそのままでは透過できず、トランスポーターやチャネルの力を借りて細胞内へはいっていきます。
脂溶性の物質はそのまま中へ入っていきます。
胆汁酸の材料
胆汁酸は肝臓でコレステロールをもとに生成されます。
さらに肝臓では、胆汁酸とビリルビン、リン脂質などから胆汁が作られます。
胆汁は1日に1リットルほど作られ、濃縮して胆のうに貯められています。


食べ物が十二指腸に入るとコレシストキニンの刺激により胆嚢が収縮し、胆汁が分泌されます。
胆汁は、界面活性剤のはたらきを持ち、脂質を乳化させて消化・吸収しやすいようにします。
ステロイドホルモン
糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲンなどがステロイドホルモンです。
ステロイドホルモンは副腎皮質や性腺で、コレステロールをもとに作られます。
また、ステロイドホルモンをもとに作られたステロイド剤は、抗炎症作用を持ち、様々な治療に用いられています。
ステロイド剤に用いられるステロイドホルモンは糖質コルチコイドが主となるため、
糖新生が亢進されたり、インスリン感受性が低下され、高血糖を招くこともあります。
おまけ~ビタミンDの前駆体
コレステロール自体ではなく、アセチルCoAからコレステロールが合成される時に中間代謝物として生成される
7デヒドロコレステロール(プロビタミンD3)がビタミンDの前駆体です。
7デヒドロコレステロールは皮膚に存在し、紫外線を浴びることでビタミンD3に変化します。



その後ビタミンD3は肝臓と腎臓で代謝を受け、活性型ビタミンD3となります。
活性型ビタミンD3は、小腸でのカルシウム・リンの吸収を促進したり、骨代謝を活性化、
さらに副甲状腺ホルモンのカルシウム再吸収作用を助けます。
コレステロールの生合成
コレステロールは、主に肝臓で合成されます。
アセチルCoAからHMG-CoA、さらにメバロン酸を経てコレステロールができます。
HMG-CoAからメバロン酸への変換を触媒するHMG-CoA還元酵素は、コレステロール合成反応の律速酵素です。
食事から摂取したコレステロールの量によって、HMG-CoA還元酵素はコレステロールの合成量を調整します。




コレステロールはエネルギー源になる?
なりません。

食事摂取基準におけるコレステロール
体内で合成されるコレステロールの方が食事で摂取するコレステロールよりも多いとされています。
そのために食事摂取基準2020年版では目標量は設定されていません。
脂質異常症の重症化予防のためには200mg/日に留めることが望ましいとされています。


まとめ
コレステロールは体に必要な栄養素であるとともに、動脈硬化などの原因にもなります。
まずは大まかな働きだけでも覚えておきましょう。