基礎栄養

【管理栄養士²】解糖系【解説】

コン
グルコースは、解糖系でエネルギーになるの??
解糖系でもエネルギーであるATPは作られるけど、さらにその先のクエン酸回路、電子伝達系でエネルギーがたくさん作られるんだ
ほんいつ
コン
その3つって、つながってるの!?

エネルギーが産生されるまで

体内に取りこまれたグルコースがエネルギーになるまでには様々な過程があります。
大まかには、グルコースは解糖系→クエン酸回路→電子伝達系という道をたどり、エネルギーが産生されます。
この過程でATP(エネルギー)が産生され、グルコースは最終的に水と二酸化炭素に分解されます。
今回は、糖質代謝のそれぞれの過程を詳しく見ていきましょう。

解糖系

解糖系は、簡単にいうと「グルコースを分解して、エネルギーを得る代謝経路」のことです。
インスリンがグルコースを細胞内に運び、解糖系はその細胞内で進行します。
解糖系は、酸素があってもなくても変わらず反応が進みます

ほんいつ
好気的条件でも嫌気的条件でもエネルギーは作られるよ

解糖系の流れ

細胞内に入ったグルコースは、ヘキソキナーゼという酵素によってグルコース6リン酸になります。
ここでATPが使われます。
この後グルコース6リン酸は、ホスホフルクトキナーゼという酵素によってフルクトース1.6―ビスリン酸になりますが、ここでもATPが使われます。
解糖系では、ATP2分子が使用されます。

解糖系

その後も様々な反応を経て、最終的にはピルビン酸キナーゼという酵素がピルビン酸を作ります。
フルクトース1.6-ビスリン酸がアルドラーゼという酵素によって分解される時、グリセルアルデヒド3-リン酸は2つ生成されるので、その後の反応はすべて2回ずつ起こります。
そして、得られるATPは4分子、ピルビン酸は2分子となります。

ATPは2分子を使用しているので、差し引きで2分子のプラスとなります。
さらに、NADHも2分子得ることができます。
NADHもATPの素として使われ、NADHからは、ATP3分子を得ることができます。

コン
つまり・・・ATP4+NADH2-ATP2だから、4+(2×3)-2で8分子のATPを得られるのか

解糖系における酵素反応

代謝経路における反応の速度を決める酵素を律速酵素といいますが、
ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼという3つの酵素が、解糖系の律速酵素です。
さらに、この3つによる反応は、不可逆です。

ほんいつ
不可逆というのは、逆の反応はしないということ。グルコースがヘキソキナーゼによってグルコース6リン酸になっても、グルコース6リン酸にヘキソキナーゼが働きかけてグルコースに戻るということはないってことだね

ここまでが解糖系です。
ピルビン酸は、ここからエネルギーを産生するクエン酸回路に入っていきます。
クエン酸回路は好気的条件でのみ進む反応です。

クエン酸回路

クエン酸回路の流れ

クエン酸回路は、ミトコンドリアのマトリクス内で進む反応です。
マトリクスというのは、ミトコンドリア内の、内膜で囲まれた部分を指します。
ミトコンドリア図解

解糖系でできたピルビン酸は、マトリクス内に入るとNAD+にHをとられて、CO2を放出します。
そこへ補酵素A(CoA)がやってきてアセチルCoAとなります。
ピルビン酸からアセチルCoAになる反応にはピルビン酸デヒドロゲナーゼが関わっています。
そこへ補酵素Aがやってきて、アセチルCoAになります。
ピルビン酸がアセチルCoAになるまで
アセチルCoAは、H₂Oとともにオキサロ酢酸にくっつき、クエン酸へと変えます。
クエン酸はイソクエン酸となり、イソクエン酸はαケトグルタル酸になり・・・という風に反応が進んでいきます。
クエン酸回路
反応の過程で、エネルギーの素であるNADHを3分子、FADH₂を1分子、GTPを1分子得ることができます。

ビタミンB群の役割

NADHやFADH₂は、NAD+やFADという補酵素に、Hがくっついたものです。
これらの補酵素はビタミンB群が材料となっています。
そのため、エネルギー産生にはビタミンB群の充足が不可欠となります。

電子伝達系

クエン酸回路まででできたNADHやFADH₂からATPを生成するのが電子伝達系です。
電子伝達系ではミトコンドリア内膜にある複合体がはたらきます。
Ⅰ~Ⅳまである複合体がNADHやFADH₂から電子を受け取ることではたらき、H+をマトリクスから膜間腔に運びます
NADHの電子はⅠ→Ⅲ→Ⅳと渡され、FADH₂の電子はⅡ→Ⅲ→Ⅳと渡されていきます。
この電子は最終的に酸素が受け取り、H₂Oとなって排泄されます。
電子伝達系1

電子伝達系2
膜間腔にH+が運ばれると、膜間腔のH+が濃くなり、マトリクスのH+が薄くなり、濃度勾配ができます。
この濃度勾配により、H+は膜間腔からマトリクスへと戻されます。
電子伝達系3

電子伝達系4
戻る際に通るのが複合体Ⅴで、これはATP合成酵素です。
このATP合成酵素を、H+が通るときのエネルギーを利用し、ADPとリン酸からATPを作ります。
H+が通ることでATP合成酵素のモーターが動き、ADPとリン酸からATPを作ります。
複合体が電子を渡す流れを電子伝達系水素の濃度勾配を利用することでADPをリン酸化してATPにする反応を酸化的リン酸化といいます。
電子伝達系と言われたら、この一連の流れを思い出せるようにしましょう。

嫌気的解糖

嫌気的条件の時、ピルビン酸は乳酸になります。
これを嫌気的解糖と呼びます。
ここで生じた乳酸は、ATP産生には用いられず、糖新生で使われます。
また、クエン酸回路は、解糖系と違って好気的条件でしか進みません
筋トレ中など、体内が嫌気的条件となったときにはピルビン酸はクエン酸回路には入りませんので注意してください。
また、クエン酸回路において大事な補酵素であるビタミンB群が不足している場合にも、ピルビン酸はクエン酸回路に入りません。

解糖系の側路

解糖系には、ペントースリン酸回路と、グルクロン酸回路という側路があります。
側路とは脇道のようなものです。
どちらもエネルギーは産生しませんが、解糖系のグルコース6リン酸から回路が始まります。
解糖系の側路なので、どちらも細胞質内で進行します。

ペントースリン酸回路

ペントースリン酸回路では、グルコースから核酸・脂肪酸の素を産生します。
解糖系のグルコース6リン酸が脇道にそれて、ペントースリン酸回路に入ると、
脂肪酸やステロイド合成に必要なNADPH
核酸やヌクレオチド合成に必要なリボース5-リン酸を生成します。
ペントースリン酸回路でグルコース6リン酸は様々な反応を経た後、
最終的にはグリセルアルデヒド3リン酸とフルクトース6リン酸となって、解糖系に入っていきます。

ペントースリン酸回路ではATPの合成は行われませんので、注意しましょう。

グルクロン酸回路

グルクロン酸回路では、グルコースからグルクロン酸を産生します。
解糖系のグルコース6リン酸が脇道にそれて、グルクロン酸回路に入ると、
肝臓における解毒で利用するグルクロン酸が作られます。
グルクロン酸は、有害な代謝物などを尿などに排泄してくれます。
グルクロン酸回路でグルコース6リン酸は様々な反応を経た後、
最終的にはキシルロース5リン酸になり、ペントースリン酸回路に入っていきます。

グルクロン酸回路でもATPの合成は行われませんので、注意しましょう。

解糖系と側路

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