





糖新生
糖新生に使えるもの
糖新生とは、乳酸やグリセロール、糖原性アミノ酸など
糖以外の成分からグルコースを生み出す代謝経路のことです。
脂肪酸からは糖新生は行われません。


糖新生はどこで行われる?
絶食や飢餓状態でグルコースが足りないときに、グルコースを作り出そうと糖新生が行われます。
どの材料からグルコースを作る際でも、
グルコース6ホスファターゼという酵素が必要になります。
体の中でこの酵素があるのは肝臓と腎臓だけです。
どちらでも糖新生はありますが、ほとんどが肝臓で行われます。


糖新生とインスリン
糖新生はインスリン分泌によって抑制されます。
インスリンが分泌されたということは血中にグルコースが増えてきたということです。
つまり、糖新生によってグルコースを増やす必要性がなくなるので、糖新生は抑制されます。

解糖系
解糖系の行われる場所
グルコースまで消化された糖質は解糖系で代謝されます。
解糖系は細胞質で行われ、酸素を必要としません。


解糖系とは
解糖系は、簡単に言うとグルコースをピルビン酸に変える反応です。
グルコースからピルビン酸になるには様々な過程があるのですが、
よく出てくるのはグルコース6リン酸です。
ヘキソキナーゼという酵素がはたらき、グルコースはグルコース6リン酸になります。
このヘキソキナーゼが解糖系の律速酵素のひとつですので、覚えておきましょう。


解糖系の流れ
グルコース1分子に対しピルビン酸は2分子できます。
ピルビン酸は、その後酸素があるかないかで行く先が変わります。
酸素がある場合にはミトコンドリアに入り、アセチルCoAになります。
このときビタミンB1が必要になります。
そしてTCAサイクルに入り、ミトコンドリア内膜の電子伝達系でエネルギーを生成します。
TCAサイクルではいろんな反応をしながら水素イオンを集め、
集めた水素イオンの濃度勾配によって電子伝達系でエネルギーが生まれるという流れです。
グルコース1分子に対して2ATP(エネルギー)、2NADH(エネルギーの素)が生まれます。




嫌気的解糖
では、酸素がない場合ピルビン酸はどうなるのか、みていきましょう。
酸素がない場合とはどんな時かというと、激しい運動などで筋肉に酸素が足りていない状況です。
このような場合、ピルビン酸はTCAサイクルに入れず乳酸になってしまいます。
乳酸はピルビン酸になり、さらにグルコースになることで再利用されるのですが、
筋肉ではグルコースに戻ることができません。
そこで、筋肉で生まれた乳酸は血管内を通って肝臓へ移動します。


肝臓へ移動した乳酸は、糖新生によってピルビン酸を経てグルコースになります。
ピルビン酸はグルコースになる途中でグルコース6リン酸になります。
グルコース6リン酸をグルコースにするのに必要な酵素がグルコース6ホスファターゼで、
筋肉にはこれがないため、乳酸は筋肉で糖新生することができません。


コリ回路
筋肉でグルコースがピルビン酸を経て乳酸になり、
血管を通って肝臓へいき、ピルビン酸を経てグルコースに戻る
この流れをコリ回路といいます。
コリ回路は、糖新生と解糖系をいったりきたりする回路といえます。
ちなみに、赤血球にはミトコンドリアがないためTCAサイクルを使うことができません。
赤血球が使ったグルコースは乳酸に変換され、コリ回路へ流れていきます。




グルコースアラニン回路
似たような回路でグルコースアラニン回路というのがあります。
これは筋肉でつくられたアラニンというアミノ酸が
肝臓に運ばれて糖新生によりグルコースになる回路です。
グルコースの代わりにアラニンができているときに使われる回路なので、
体が飢餓状態にあり、体たんぱく質が異化されているときにはたらくといえます。


