食べ物と健康

【管理栄養士】食中毒~細菌・ウィルス編~【解説】

コン
6月か・・・じめじめしてきたね
そうだね。6月といえば、やっぱりアレの季節だね
ほんいつ
コン
アレ? ああ、梅?? 今年は梅干しでも作る?
いや、そうじゃなくて・・・
ほんいつ
コン
さくらんぼ!? 久しぶりに、食べたいなあ
そうでもなくて・・・
ほんいつ
コン
あっ、アジもいいねえ
違うっつーの! 食中毒だよ!!
ほんいつ
コン
食中毒か・・・一口に食中毒といっても漠然としていてよくわからないなあ
ということで、今回は食中毒について解説していきまーす
ほんいつ

食中毒とは

なにかを食べて、発熱や嘔吐、下痢などの症状が出るものを食中毒といいます。
食中毒には原因によって5つの種類があります。

食中毒の種類

食中毒といえば、6月から9月の気温・湿度の高い時期だと思いがちですが、
それは細菌による食中毒です。
ウィルスによる食中毒は冬に起こりやすくなります。
細菌性食中毒ウィルス性食中毒が代表的な食中毒ですが、
他に化学物質自然毒寄生虫も食中毒の原因となります。
今回は、細菌性食中毒とウィルス性食中毒について解説します。

コン
食中毒にも色々あるのね
種類がたくさんあって大変だけど頑張ろう!
ほんいつ

細菌性食中毒

細菌は水分と栄養、適度な温度という条件が揃うと繁殖します。
つまり、調理後の食品など生き物でないものでも繁殖することができるということです。
細菌による食中毒は6月から9月にかけて、気温と湿度の高い時期に多くなる傾向にあります。

細菌が増える条件が整いやすい季節だからです。
細菌には抗生物質が有効です。

細菌性食中毒の種類

細菌性食中毒は感染型毒素型に分けることができます。

感染型

感染型は、食品とともに摂取した細菌が体内で増殖することによって起きる食中毒です。
食品で増殖した細菌を摂取して起きる場合も感染型となります。

毒素型

毒素型は、増殖した細菌が出した毒素によって起きる食中毒です。
体内に入った細菌が増殖して作り出した毒素によるものを生体内毒素型
食品で増殖した細菌が作り出した毒素によるものを毒素型
あるいは食品内毒素型といいます。

生体内毒素型は感染型で覚えよう

生体内毒素型は、一度生体内に入って増えるところまでは感染型と同じなので、
感染型のなかの生体内毒素型と分類されている場合もあります。
機序を考えても感染型の生体内毒素型としたほうがわかりやすいです。

細菌によって、原因となる食品や温度、症状が出るまでの潜伏期間などが異なります。
分類に沿って見ていきましょう。
種類が多いですが、どれも身近な食中毒の原因菌です。

細菌性食中毒~感染型

サルモネラ属菌

鶏や牛・豚の腸管に常在菌として存在しているため、生肉(特に鶏)生卵が原因となります。
増殖温度は5~46℃と幅がありますが、熱に弱く60℃で30分加熱すると死滅します。

潜伏期間は5~48時間ですが、4日後の発症例などもあります。

少ない数の細菌でも発症する可能性があるので、注意が必要です。

症状は発熱・下痢・嘔吐などです。
酸素があってもなくても増殖できる通性嫌気桿菌です。

サルモネラ特徴

カンピロバクター

鶏・牛・豚の生肉、井戸水が原因となります。
特に鶏が多く保菌しており、スーパーなどの鶏肉も汚染されている場合が多くあります。
増殖温度は30~46℃です。

潜伏期間が2日から7日と長いのが特徴です。
症状は発熱・下痢・嘔吐に加え血便が出ることもあります。

酸素が少しだけある環境で増殖する微好気性菌です。

感染型は、細菌に感染するため、体の免疫がはたらき発熱を伴うことが多いです。

カンピロバクター特徴

細菌性食中毒~感染型(生体内毒素型)

O157

腸管出血性大腸菌の一種で、これらの出す毒素はベロ毒素といいます。
死亡例があり、危険な食中毒です。

牛肉や井戸水、サラダなどが原因となります。
8~45℃で増殖できますが、75℃1分以上の加熱で死滅しますので、
食品の十分な加熱で防ぐことができます。
低温・酸に強いのも特徴です。

潜伏期間は2~8日と長いです。

症状は激しい腹痛・水様便で、発熱を伴うこともあります。
通性嫌気性菌で、酸素があってもなくても増殖できます。

o-157特徴

ウェルシュ菌

肉や魚、それらを使用したカレーやシチューなどの煮込み料理が原因となります。
ウェルシュ菌は偏性嫌気性菌で、酸素のない環境で増殖するからです。
カレー鍋の下の方は酸素がないので、そこで増殖します。
鍋を底からよく混ぜることで食中毒を予防することができます。

ウェルシュ菌は芽胞と呼ばれる殻のようなものを作ります。
ウェルシュ菌の芽胞が形成されると、
100℃で4時間以上加熱しても死滅しなくなります
熱に強く、酸素が嫌いなので煮込み料理で増殖しやすいというわけです。

芽胞がある間は増殖しませんが、高温を乗り切ったあとは再び増殖可能な状態になります。
加熱調理したあと、時間の経ったものでウェルシュ菌が増殖する可能性があるということです。

ウェルシュ菌の潜伏期間は6~18時間で、水様便や腹痛などの症状が出ます。

ウェルシュ菌特徴

腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオは、塩水(特に3%濃度)で増殖し、真水では死滅するという特徴を持ちます。
魚介類に存在しますので、水でよく洗うことが大切です。

また、調理器具を介して漬物などに腸炎ビブリオが移った場合も塩分があるので増殖してしまいます。

増殖温度は5~45℃で、潜伏期間は5~24時間となっています。
増殖速度が速く、海水温のちょうどよい夏に多く発生します。
症状は発熱・嘔吐・下痢などです。
通性嫌気性菌です。

腸炎ビブリオ特徴

コン
ウェルシュ菌と腸炎ビブリオは特徴的で覚えやすいかも
そうそう。覚えやすそうなところから入って、徐々に覚える範囲を広げていこう
ほんいつ

セレウス菌(下痢型)

川や土に存在するので、農作物・穀類などが原因となります。
弁当やプリン、野菜も原因となります。
セレウス菌はウェルシュ菌と同様に芽胞を形成します。
セレウス菌の芽胞は100℃30分の加熱でも死滅しません

増殖温度は5~55℃で、潜伏期間は6~16時間です。
通性嫌気性菌です。

セレウス菌下痢型特徴

感染型・生体内毒素型は体内で細菌が増殖するため、潜伏期間が長めです。

細菌性食中毒~毒素型

セレウス菌(嘔吐型)

下痢型とほとんど同じです。
チャーハンやスパゲティなどが原因となります。
嘔吐型も芽胞を形成します。
毒素を摂取して食中毒となるため、潜伏期間は下痢型よりも短く、1~6時間です。
日本で起きるセレウス菌による食中毒は、嘔吐型がほとんどです。

セレウス菌嘔吐型特徴

セレウス菌 嘔吐型と下痢型の違い

嘔吐型と下痢型の違いは、毒素を摂取するか、体内で増殖して毒素が作られるかです。
嘔吐型が毒素摂取
下痢型が体内で増殖して毒素生成
です。

黄色ブドウ球菌

人の皮膚・鼻などに生息していて、特に傷口に多く存在します。
傷のある手で食品を触るなどすると、菌が繁殖してしまいます。

黄色ブドウ球菌の毒素は100℃30分の加熱でも完全には失活しません
さらに、塩分や乾燥にも強いです。
潜伏期間は1~6時間で、通性嫌気性菌です。

黄色ブドウ球菌特徴

コン
これも結構身近な菌だね
鼻をかむと黄色ブドウ球菌が頭をよぎるよ。そういう人は結構いるんじゃないかなあ
ほんいつ

ボツリヌス菌

土や川などに存在します。
ボツリヌス菌は偏性嫌気性菌で、酸素のないところでないと増殖できません。
真空パックや缶詰などで増殖します。

土の中では芽胞の状態で存在し、耐熱性を持ちます。
ボツリヌス菌の毒素は熱に弱く、80℃30分の加熱で失活します。
潜伏期間は12~36時間です。
運動神経麻痺から嚥下障害、呼吸困難などが症状として挙げられ、他の食中毒に比べ致死率が高いです。

ボツリヌス特徴

ウィルス性食中毒

ウィルスは細菌とは違い、ヒトや動物などの細胞のあるところでないと増殖することができません
つまり、食品では増殖しないということです。

ウィルス性食中毒は、ウィルスを食品と一緒に体内に取り込むことで起こります。
ウィルスは細胞をもたないため、自分以外の細胞にくっついて自分を複製することで増殖します。
そうしてウィルスが増えて、体調不良を引き起こします。

ウィルス性食中毒の王様

ウィルス性食中毒の中で有名、かつ重要なものはノロウィルスです。
ノロウィルスの原因食品として、かきなどの二枚貝があげられます。
ノロウィルスは二枚貝では増殖せず、蓄積されていきます。
ノロウィルスの蓄積された二枚貝を摂取することで、人はノロウィルスによる食中毒を引き起こします。

ノロウィルスは中心部まで85~90℃以上で90秒間加熱することで失活するとされています。
かきの生食は、ノロウィルスという観点からみると、とても危険です。
病院・施設や委託会社などでは、職員にかきを食べることや生食を禁止しているというところもあります。

ほんいつ
うんうん、私もそうだったよ。毎年冬が近づくと「牡蠣食べるな」のFAXが届いてたなあ
会社からいわれなくても、自制する栄養士や調理師は多いよね
コン
ほんいつ
自分が感染源になるわけにはいかないからね

ノロウィルスに感染する原因は二枚貝摂取だけでなく、糞便によるものもあります。
ノロウィルスに感染した人がトイレに行き、お尻を拭いたらその手にはノロウィルスが付いている可能性が高いです。
ノロウィルスはトイレットペーパーを数枚重ねただけではペーパーをすり抜けてしまうほど小さいです。
その手が触れたドアの取ってなどを介して、他の人に感染していきます。

また、感染者の吐瀉物からウィルスが飛んだりもします。
ノロウィルスは10~100個という少ない数で感染・症状が出ます。
感染が広がりやすい一因となっています。

コン
小さいし、少なくてもOKだし、ノロウィルスの感染がわっと広がるのが分かるね
それだけに、普段から気をつけないといけないね
ほんいつ

体内に入ったノロウィルスは腸管内で増殖します。
増殖したノロウィルスは激しい嘔吐や下痢などの症状を引き起こします。
下痢などで菌を排出することで症状は収まっていきますが、
抵抗力の弱い子供や高齢者、他の疾患を持つ人などは、死んでしまうこともあります。

ノロウィルスは、アルコールでは失活しません

薄めた次亜塩素酸ナトリウムで失活させることができます。
感染したときにはドアノブや便座、嘔吐した周りなどに薄めた次亜塩素酸ナトリウムを噴霧・拭き取りします。

ノロウィルス特徴

コン
これ大事だよね。アルコールが効かないっていうのは
そうだね。感染したときだけでなく、平素から次亜塩素酸を薄めたもので消毒する癖をつけたいね
ほんいつ

その他のウィルス性食中毒

ウィルス性食中毒は他にロタウィルスA型肝炎ウィルスなどがあります。
ロタウィルスは乳幼児に多く感染します。
下痢や嘔吐などの症状があり、白色便が出ることもあります。
感染経路はノロウィルスと同様二枚貝や糞便です。

A型肝炎ウィルスは成人の方が、症状が重くなることが多いです。
だるさや嘔吐、黄疸などの症状があります。
こちらも感染経路は二枚貝や糞便です。
上下水道が整備されていないところでは、生水や野菜も原因食品となりえます。

コン
ふう~、長かった
食中毒は、「食べ物と健康」の中の頻出事項である「食品の安全」に含まれるからね。よく勉強しておこう
ほんいつ
コン
でも、特徴を覚えていけばいけそうな気がしてきたよ
おっ、その考え方はいいね! いけそうと思えば、いけると思うよ!
ほんいつ

 

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