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【管理栄養士²】脂肪酸のβ酸化・生合成【解説】

コン
脂肪酸のβ酸化と生合成についてのリクエストがきたよ
うわあ、いろんな単語が出てきて頭がぐちゃぐちゃになった覚えがあるよ
ほんいつ
コン
そもそもβ酸化ってなんだっけ?
そこからかい! これから解説していくよ♪
ほんいつ
コン
これで脂肪酸代謝は完璧かも!?

β酸化とは?

β酸化のはたらき

脂肪酸のβ酸化は、簡単に言うと脂肪酸からエネルギーを生み出す流れの一部分のことです。
β酸化は、脂肪酸がエネルギーとして使われるためのひとつの過程にすぎないということです。

脂肪酸のβ酸化はミトコンドリア内で行われます。
脂肪酸はもともとミトコンドリアにはないですよね?
これから、脂肪酸がミトコンドリアにやってくるところから解説していきます。

中性脂肪からスタート!

まず体内で脂質は中性脂肪という形で貯蔵されています。
中性脂肪はリパーゼによってグリセロールと脂肪酸に分解されます。
グリセロールは解糖系または糖新生でエネルギーとなったり、貯蔵されたりします。

アシルCoAだとミトコンドリアに入れない??

脂肪酸はアシルCoAシンテターゼという酵素によりアシルCoAになります。
アシルCoAはそのままだとミトコンドリア内に入れないので、カルニチンとくっついてアシルカルニチンとしてミトコンドリア膜を通過します。

ミトコンドリア膜を通り過ぎるとカルニチンはアシルCoAから離れて再びミトコンドリア膜の外へ出ます。
このカルニチンはまた外で同じようにアシルCoAとくっついてアシルカルニチンになり…という流れに再利用されます。

いよいよβ酸化

ミトコンドリア内に入ったアシルCoAはβ酸化されます。

β酸化ではアシルCoAになった脂肪酸の炭素をカルボキシ基側から二個ずつつかってアセチルCoAを作ります。
このとき、エネルギーの素になるNADHやFADH₂も生み出されます。

脂肪酸があります。

右端はカルボキシ基で、ひとつの塊と思ってください。

このカルボキシ基が分解され、補酵素がくっつくことでアシルCoAになります。

これでβ酸化される準備が整いました。

塊から数えて一つ目の炭素から、α、β…と数えていきます。
このβの炭素を酸化することがβ酸化です。

β酸化の後はβ位の炭素の前でアシルCoAはふたつに分かれます。
右側がアセチルCoAになり、左側には再び補酵素がくっついてアシルCoAになります。

 

そしてβ酸化が繰り返されます。


図の脂肪酸だとβ酸化は3回繰り返され、アセチルCoAが4つできることになります。

β酸化後はTCAサイクルへ

このアセチルCoAがTCAサイクルに入ることでエネルギーとなります

TCAサイクルはミトコンドリアで行われます。酸素があるときにここでエネルギーが生み出されます。

アセチルCoAはオキサロ酢酸・水とくっついてクエン酸になり、クエン酸はさらにイソクエン酸になり…と変化を続けます。その過程でエネルギーの素が作り出されます。

イソクエン酸は最終的にオキサロ酢酸になり、またアセチルCoAとくっつき反応を続けます。
ぐるぐると同じ反応を繰り返すので、サイクル=循環という言葉が使われています。

電子伝達系と酸化的リン酸化

β酸化ではNADHFADH₂といったエネルギーの素ができるといいました。
これらは電子伝達系による酸化的リン酸化でのエネルギー生成に関わっています。

NADHにもFADH₂にもH=水素がついていますね。

これらがミトコンドリア内膜にある電子を伝達する複合体群に電子を渡します。この電子は複合体から複合体へ渡されます。
同時に複合体群はミトコンドリアの膜間領域にHを運んで膜内のHを濃くします。この流れを電子伝達系といいます。

膜間領域の水素が濃くなると、水素はATP合成酵素を通ってマトリックス領域に戻されます。
ここで、水素がATP合成酵素を通るときにADPがATPとなり、エネルギーが生まれます。
これが酸化的リン酸化です。ADPが酸化され、ATPとなったわけです。

水素の濃度勾配でエネルギーが生まれる流れが、電子伝達系による酸化的リン酸化、とざっくり覚えておけばOKです。

β酸化のまとめ

脂肪酸のβ酸化とは、脂肪酸をアセチルCoAに変えてTCAサイクルに入れるためのはたらきで、NADHやFADH₂といったエネルギーの素を生み出します。

β酸化の流れまとめ

1.脂肪酸からスタート

2.アシルCoAになる

3.ミトコンドリアに入るため一時的にアシルカルニチンになる

4.β酸化でアセチルCoAになる

5.TCAサイクルでエネルギー生成

脂肪酸の生合成

まずはアセチルCoAになる

脂肪酸の生合成は細胞質で行われます。
まず、グルコースやアミノ酸がミトコンドリア内アセチルCoAになります。

グルコースは解糖系を経てピルビン酸→アセチルCoAになります。
アミノ酸はアミノ基転移反応、酸化的脱アミノ反応から炭素骨格を経てアセチルCoAになります。

TCAサイクルで膜を抜けられるようになる

アセチルCoAはそのままではミトコンドリアの膜を抜けられないので、TCAサイクルに入りオキサロ酢酸と水とくっついてクエン酸になります。

クエン酸はミトコンドリアの膜を抜け、オキサロ酢酸が離れてアセチルCoAに戻ります。

マロニルCoA登場

アセチルCoAはアセチルCoAカルボキシラーゼという酵素によってCO₂がくっつけられマロニルCoAになります。

マロニルCoAはアセチルCoAに炭素を2つずつくっつけていきます。
β酸化の時の構造式でみたようにアセチルCoAにも炭素はあるのですが、アセチルCoAとアセチルCoAはくっつくことができません
そこでマロニルCoAになることで、アセチルCoAに炭素をくっつけられるようにしています。

マロニルCoAはアセチルCoAに炭素を上げた後余ったCO₂を一つ放出し、このCO₂はマロニルCoA合成に再利用されます。
マロニルCoAとアセチルCoAがくっつくとき、ペントースリン酸回路という核酸合成に関わる回路からNADPHがやってきて水素をくれます

この繰り返しでアセチルCoAの炭素数が増え脂肪酸(パルミチン酸)となります。
パルミチン酸をもとにしてほかの脂肪酸が作られていきます。

脂肪酸生合成まとめ

アセチルCoAがクエン酸やマロニルCoAになったりして少しわかりにくいかもしれませんが、脂肪酸の生合成とは簡単にいうとマロニルCoAがアセチルCoAに炭素をつけていくことです。
出発点はミトコンドリア内で、炭素がくっつくのは細胞質でしたね。

どこから出発するのか? どこへ行くのか? そのために何になるのか? 流れがわかるとスムーズに理解できるかと思います。

脂肪酸生合成の流れまとめ

1.グルコース・アミノ酸からスタート

2.アセチルCoAになる

3.ミトコンドリアから出るため一時的にクエン酸になる

4.アセチルCoAに戻る

5.マロニルCoAになる

6.アセチルCoAに炭素くっつけて脂肪酸完成

まとめ

今回は脂肪酸のβ酸化と生合成について解説しました。
どちらも様々な物質を経て反応していくので一見わかりにくいように思いますが、実は結構単純です。
各まとめを読んでおくだけでも役立つかと思います。
脂肪酸生合成とβ酸化が逆の流れではないことも覚えておいてくださいね。

動画もわかりやすい!!

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