社会

【管理栄養士²】疫学研究について【解説】

ほんいつ
こんは、PCの前に座って15分経つと部屋を移動して、30分ほど経つと再びPCの前に戻っている・・・(メモメモ
ん? なにそれ??
コン
ほんいつ
こんの行動データを書いてるんだ。記述研究だね
記述研究?
コン
ほんいつ
データを記述することで仮説を立てるんだ。こんは、15分で集中が切れて30分休憩したあとまた集中しようとPCの前に座っている! つまり、離席は集中力の切れたタイミングである!!
うおお、正解! って、それは記述したデータだけで分かったことじゃないでしょ
コン
ほんいつ
まあね。本当の記述研究とはなにか、も以下で解説していくよ!

疫学研究の種類

疫学研究は、信頼度の低い順に

 

 

生態学的研究

横断研究

症例対象研究

コホート研究

無作為化比較試験

システマティックレビューメタアナリシス

 

 

の6つに分類されます。

それぞれ研究対象や方法が違うのですが、わかりにくい分野でもあります。
ただ、ほぼ毎年出題されている分野でもあるので、特徴をしっかり覚えておきましょう。

研究の手法

まず、研究はその手法によって3つに分けられます。
記述研究分析研究介入研究です。

簡単に説明すると、

記述研究は対象者のデータを記述するのみの研究です。
データから推察し、仮説を立てます

分析研究は、対象者の状態や結果を観察し、仮説が正しいかどうか検証します。

記述研究と分析研究は合わせて観察研究と大きく括られることもあります。

介入研究は対象者に薬を飲んでもらうなど行動・状態に介入し、原因と結果の因果関係について実際に確認します。

ほんいつ
以下の研究の解説ではわかりやすいように疾病とその原因についての仮説を用いています。わかりやすさを重視して設定したのでこの仮説に根拠はありません。ご了承ください!

それでは具体的な研究の種類を見ていきましょう。

生態学研究

疾病とその原因についての関係性を推測・検討する研究です。
生態学研究は地域相関研究ともいい、集団を対象とするところが特徴です。

例えば、たばこを吸う人と肺がんになっている人に注目してA県とB県を比較します。
A県ではたばこを吸う人が6割で、肺がんになる人が8割でした。
B県ではたばこを吸う人が3割で、肺がんになる人が2割でした。

A県の図 B県の図

たばこを吸う人はA県のほうが多く、同じように肺がんもA県のほうが多くなっています。
このことから「たばこを吸う人は肺がんになりやすい」という仮説をたてることができます。

大事なのは、これは単なる仮説だということです。

「たばこを吸うと肺がんになりやすい」ということがわかったわけではなく、
「たばこを吸うと肺がんになりやすいのかもしれない」という仮説を立てただけです。

この研究では因果関係を検証することはできず、その後の調査の方針を決めたりするのに利用することが多いです。
比較的短時間・安価でできることがメリットです。

コン
なるほど、これが事実かどうかはまだわからないのね
そのとおり。データから仮説を作るのが、生態学研究。検証は行えないよ
ほんいつ

横断研究

生態学研究と似ていますが、こちらは個人を対象にした研究です。

疾病とその原因について一時点での状態に着目してその関係性を仮定します。

例えば、100人を対象に肥満と朝食摂取のかかわりを調べたとします。
すると、肥満者に朝食を食べない人が多い傾向にあることがわかりました。
ここから、朝食を食べないと肥満になりやすいのでは?という仮説を立てることができます。
こちらも、根拠などないただの傾向なので、生態学研究と同じく仮説をたてるだけです。

横断研究ではある一時点の状態しか見ないということがポイントです。
横断研究2

横断研究3
★印の調査時点で「やせていて朝食を食べる人」に、過去に「痩せていて朝食を食べなかった」期間があるかもしれません。

横断研究4

横断研究1
「太っていて朝食を食べない人」で、これまでずっと朝食を食べていたのに調査の1か月前から朝食を抜き始めた人がいるかもしれません。
それでも、この調査ではある一時点しか調査しません。

横断研究対象

コン
調査した★印部分を調べるとたしかに朝食摂取と肥満に関わりがあるように見えるね
ほんいつ
過去の状態まで調査を延ばすとそれもわからないよね。一時点だから

このように、過去の状態には注目せず、今の状態だけに絞って調査をするのが一時点ということです。

横断研究では原因と結果を同時に測定する、と言われます。
それは、「この人は肥満だ、そして朝食を食べない」という調査をするということで、
「この人は肥満だ、朝食を食べない生活をずっとしているが少し前まで痩せていた」という調査をしないということです。
一時点にしか着目しません。

コン
一時点って何回言うの

比較的短時間・安価ででき、さらに対象について経過を追跡しないですむ点がメリットです。

生態学研究も横断研究も、仮設を立てることしかできず、因果関係を証明できないことがデメリットです。

コン
生態学研究と横断研究の大きな違いは対象が集団か、個人か、かな
そうだね。横断研究では一時点、がポイントだね
ほんいつ
コン
それはよく分かりました

症例対象研究

疾病を持つ人たち(症例群)と、疾病を持たない人たち(対照群)に分けて、
仮定した疾病の原因を持つか持たないかを過去にさかのぼって調査する方法です。

例えば、「高血圧の人は心筋梗塞になりやすい」という仮説を立てていたとします。
それを立証するために、心筋梗塞の人とそうでない人にわけて、高血圧かどうかを調査します。

心筋梗塞の人の中で60%が高血圧で、心筋梗塞でない人の中で20%が高血圧でした。
因果関係があるように思えます。

ただし、高血圧だから心筋梗塞になったのか、
心筋梗塞になってから高血圧になったのかがわかりません

さらに、記憶に頼るので本当に以前から高血圧だったのかも確かではありません。

このように、原因と結果の順番がわからないこと原因に対する信頼性の低さデメリットです。

コン
なるほどね~、確かに、どっちが先かわからない
本人の記憶だと、自覚症状の出た時が罹患の始まりになりやすいしね
ほんいつ

対してまれな疾患に向いていること、観察期間が短いことがメリットです。

ほんいつ
「疾病を持つ人と持たない人にわける」、「過去にさかのぼり調べる」というところがポイントだね
ふむふむ
コン
ほんいつ
症例群と対照群に分けていて、過去の状態についても調べている、ときたら症例対象研究を疑おう!

症例対象研究がまれな疾患に向いているとは…?

100万人に1人の割合で罹患する疾病があったとします。
疾病の原因を仮定して、その原因を持つ人と持たない人100人で疾病を発症するかどうか調査した場合、
誰も発症しない可能性が高いのです。
これでは調査になりません。

コン
気が遠くなる・・・

すでに疾病を持つ人を調べる症例対象研究は、まれな疾病であっても発症している人を対象にするので
100万人に1人という発症確率が関係なくなっているということです。

100万人に1人の疾患を100人が罹患するのを待つのと、100万人に1人の疾患を持つ人100人を集めるのでは後者が断然楽ですよね?
後者で調査するのが症例対象研究です。

前者で調査するのはこれから解説するコホート研究です。

コホート研究

仮定した疾病の原因を持つ人(曝露群)持たない人(非曝露群)に分けて
疾病と原因のかかわりについてどうなるかを調べる研究です。
曝露とはさらされる、受けるという意味です。

「喫煙は肺がんのリスクを高める」という仮説を立てたとします。
この場合喫煙者人が疾病の原因を持つ人=曝露群となります。

対象者を喫煙者と非喫煙者に分けるのですが、調査開始時にはどちらのグループに肺がんの人はいません
これから肺がんになる人を追跡調査します。

コン
曝露群で肺がん発症率が高くなって、非曝露群で低かったら喫煙と肺がんの因果関係が疑われるね
そういうこと。わかってきたね
ほんいつ

未来に向けて調査するので「前向き」コホート研究ということもあります。
前向きとは

ほんいつ
前を向いてるね~

症例対象研究では過去のことを思い出して原因を曝露していたかどうか調べるので、
それが本当のことなのか曖昧でした。

コホート研究では今から未来に向けて経過を追うので曝露しているかどうかが確実にわかります。

よって症例対象研究よりも信頼度が高いです。
そのかわり、これから肺がんという結果が出るであろう期間中対象を観察していかなければならないので、時間と費用がかかります

コン
信頼度の高い調査をするには時間がかかるんだね~
実生活でもそうだよね。歴の長い人のほうがなんとなくその分野に関して信頼できるという
ほんいつ
コン
納得したような、なんか違う感じがするような・・・

無作為化比較試験(RCT)

コホート研究では曝露しているか曝露していないかでグループを分けましたが、
この研究ではまずランダムにグループを分けます

「毎日お酢を飲むと血圧が下がる」という仮説を検証するとします。
ランダムに人を集めて、二つのグループに分けた後、片方のグループにお酢を飲んでもらいます。
お酢を飲む以外の要素はバラバラで、統一されていません。
こうして経過を見ていく研究です。

研究の信頼度は高いですが、時間と費用がかかります
また、対象者全員にインフォームドコンセントを取る必要があります。
インフォームドコンセントとは、研究について対象者に説明し、同意を得ることです。

ほんいつ
これまでの研究では介入はしていなかったよね。でもこの研究では介入をするんだ。だからインフォームドコンセントが必要になってくるよ
なんの説明もないまま謎の介入されたら怖いよね
コン

この研究では研究者と対象者が、誰がどちらの群に属すか知らないことが望ましいとされています。
お酢と血圧低下の例では知られないことは難しいですが、
薬の効果を知りたい時などは本物の薬を飲む介入群と、
本当は薬ではない偽薬を飲む非介入群で調査します。

対象者はどちらも薬を飲んでいるつもりですし、研究者からはどちらも薬を飲んでいるように見えるため主観が入りにくいです。

ただのラムネを風邪薬だよと言って飲ませると風邪症状が改善したりすることがあります。
これをプラセボ効果ということから、非介入群のことをプラセボ群と呼ぶこともあります。

ほんいつ
これよくあるな~。頭痛いと思って薬のむとすぐ頭痛なくなるときあるもん。絶対吸収されてないのに
ザ・プラセボ!!
コン

システマティックレビューメタアナリシス

システマティックレビューとはあるテーマの論文・文献をとにかく検索・収集することで、
メタアナリシスはそれらのデータをまとめて分析することをいいます。

例えば、運動習慣と糖尿病についての論文を集めて内容を検討・取捨選択し、
そこからさらに結論を出す、という感じです。

疫学研究の中で信頼度は最も高いですが、データ収集や解析に時間がかかります

コン
最後の最後に地味なやつがきたね
名前はカッコイイけどね。でも、いろんな研究や文献のデータをまとめるわけだから、研究一つよりも信頼度はずっと高いよ
ほんいつ
コン
確かに! 聞いただけでも時間がかかりそうなのがわかるよ

交絡因子

疫学研究では交絡因子という言葉が出てきます。
交絡因子とは、調べようとしている原因以外にある疾病の原因です。

パチンコをする人に肺がん患者が多いという結果が出たとします。
実は、パチンコ自体が肺がんのリスクとなったわけではなく、
パチンコをする人に喫煙者が多いことで、パチンコをする人に肺がん患者が多いように見えたというわけです。
この場合交絡因子は喫煙になります。

パチンコと肺がんの関係を調べようと思ったら、パチンコと喫煙に関わりがあったため、
パチンコと肺がんの純粋な関係がわからなかった、ということです。

パチンコ自体に肺がんになるようなリスクはありませんよね。
でも喫煙という交絡因子のせいでリスクがあるように見えてしまいました

このように、交絡因子は研究の結果に影響してきます。
交絡因子がないか事前に検討したり、対象集団を限定することで交絡因子の影響を少なくします。

コン
喫煙という交絡因子に気が付かなかったら、この研究ではパチンコが肺がんの原因になるという結論を出したのだろうか・・・
そう考えると、交絡因子の重要性がわかるね
ほんいつ

交絡因子の影響を受ける研究に生態学的研究症例対象研究があげられます。

まとめ

ほんいつ
各研究の内容をまとめてみました。参考にしてください
詳しい解説は、各項目へGO!
コン

生態学的研究

集団における疾病と原因の関係性について仮説を立てる!
メリットは短時間、安価でできること

横断研究

個人について疾病と原因の関係性の仮説を立てる!
メリットは短時間、安価でできること
ある一時点についてのみ、着目する

症例対象研究

症例群と対照群に対して過去にさかのぼり仮定した原因を持つか調査する!
デメリットは原因と結果の因果関係がわからないこと、信頼度が低いこと
メリットはまれな疾患に向いていて、観察時間が短いこと

コホート研究

曝露群と非曝露群に対してこれから疾病を発症するか調査する!
デメリットは時間と費用がかかること
メリットは信頼度が高いこと

無作為化比較試験

対象を、介入する群としない群にランダムに分けて効果を見る研究!
インフォームドコンセントが必要
デメリットは時間と費用がかかること
メリットは信頼度が高いこと

システマティックレビューメタアナリシス

文献を集めてデータをまとめて分析する!
デメリットは時間がかかること
メリットは信頼度が高いこと

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