公衆栄養

【管理栄養士】エネルギー調整・密度法・残差法【解説】

ほんいつ
今回は、エネルギー調整についての解説です。
密度法と残差法、正直よくわからないよ
コン
ほんいつ
確かに…。今回はわかりやすい解説が難しかった…
わかりにくいところなどあったら、どんどん質問ください!
コン

エネルギー調整とは

エネルギーと栄養素の摂取量は比例する

エネルギーを多く摂取する人は、それに比例して他の栄養素も多く摂取する傾向にあります。
エネルギーが多くなると他の栄養素も多くなり、エネルギーが少なくなると他の栄養素も減るということです。

エネルギー調整はどんな時に使う?

栄養疫学という分野があります。
特定の栄養素と疾病の関係を研究したりする学問ですが、エネルギーの多少によって摂取した栄養素も変化するため正しいデータをとったり比較することができません。
そこで、他の栄養素の摂取量にエネルギー摂取の大小による影響が出ないようエネルギー量を調整することエネルギー調整といいます。

エネルギー調整具体例

具体的な例を使って説明します。
例えば、たんぱく質摂取量についてのデータを集めるとします。
エネルギー調整
ABCの3人からデータをとるとき、
Aさんが1300kcalたんぱく質40g、
Bさんが1600kcalたんぱく質80g、
Cさんが1800kcalたんぱく質85g
を摂取していたら、3人ともエネルギーがバラバラなのでそのまま比較することはできません。
そこで、全員1500kcalだったらたんぱく質はそれぞれ何g摂取するのか? を求める必要があります。
エネルギー調整
エネルギーを1500kcalに揃えてますよね。
これがエネルギー調整です。
そしてたんぱく質の量を計算する方法に密度法残差法があるということです。

密度法と残差法

密度法はエネルギーに占める栄養素の割合を求める方法で、

残差法は集団の平均値を出して、その値との差から設定したエネルギー量に対してどのくらいの栄養素をとるか予測する方法です。
密度法のほうがわかりやすく、また実際に使う場面が多いです。
詳しく見ていきましょう。

コン
残差法は統計っぽくて難しい…
まあまあ。まずは密度法から見ていこう
ほんいつ

密度法

密度法は、総エネルギーに占める各栄養素の割合を求めます。
栄養素の摂取量÷総エネルギー摂取量×1000kcalで求めます。
つまり、1000kcalあたりどのくらい栄養素が含まれるかがわかるということです。

密度法具体例

最初の例を使ってみていきましょう。
エネルギー調整
Aさんは1300kcal摂取したときにたんぱく質を40g摂取しました。
40g÷1300×1000kcal=30.7
1000kcalあたり30.7gたんぱく質を摂取しているということです。
同じようにBさんとCさんを計算してみましょう。
Bさん…80g÷1600×1000kcal=50
Cさん…85g÷1800×1000kcal=47.2
Bさんが1000kcalあたり50g、Cさんが1000kcalあたり47.2gのたんぱく質を摂取していることがわかりました。
エネルギー調整
1000kcalあたりのたんぱく質量を1500kcal当たりのたんぱく質量に直すには、1500kcalが1000kcalの1.5倍なので、たんぱく質量もそれぞれ1.5倍してあげればOKです。

エネルギー調整
Aさんが1500kcalで46.1g、Bさんが1500kcalで75g、Cさんが1500kcalで70.8gのたんぱく質を摂取することになります。
これだとエネルギーが同じなので、たんぱく質量を比べることができます

最初の段階ではたんぱく質量が一番多かったのはCさんでしたが、エネルギーに対してたんぱく質量が一番多いのはBさんになりました。
これが、密度法です。

コン
密度法は割合だから、わかりやすいね
1000kcalに占める栄養素量を求める、というところに注意しよう
ほんいつ

PFC比

密度法を使ったエネルギー調整の中で特によく使うものがPFC比と呼ばれるものです。
P(たんぱく質)F(脂質)C(炭水化物)のエネルギーに占める割合を表したものです。
各栄養素を総エネルギーで割るのは同じなのですが、栄養素gの単位をエネルギーに直す作業が加わります。
先ほどの計算ではエネルギー中の栄養素量を求めていましたが、PFC比では総エネルギーに占める栄養素のエネルギーを求めるためです。
単位は「%エネルギー」となります。

PFC比求め方

たんぱく質…たんぱく質摂取量g×4÷総エネルギー摂取量×100

脂質…脂質摂取量g×9÷総エネルギー摂取量×100

炭水化物…炭水化物量g×4÷総エネルギー摂取量×100

摂取量をエネルギーに戻すために使った4や9の数字はアトウォーター係数です。
アトウォーター係数とは、各栄養素の1gあたりのエネルギー量を示しています。

アトウォーター係数

たんぱく質…1gあたり4kcal

炭水化物…1gあたり4kcal

脂質…1gあたり9kcal

たんぱく質を60gとった時のエネルギー量は60g×4で240kcalとなります。

実際に計算してみましょう。
1500kcal摂取した時にたんぱく質を60g摂取したとします。
この場合たんぱく質のエネルギーが総エネルギーに占める割合は、
60g×4÷1500×100=0.16×100=16%となります。
1500kcalの16%のエネルギーをたんぱく質から摂取したというわけです。
PFC比
さらに、同じ食事で脂質は40g、炭水化物は225g摂取したとします。
脂質は40×9÷1500×100で24%
PFC比
炭水化物は225×4÷1500×100で60%
PFC比
つまり、この食事1500kcalの内訳は240kcal、16%がたんぱく質、360kcal、24%が脂質、900kcal、60%が炭水化物ということになります。
望ましいPFC比はたんぱく質12~15%、脂質20~25%、炭水化物60~68%と言われていますので、この食事は大体いい感じですね。

PFC比の計算はできるようにしておくと安心です。
献立作成の時などもPFC比は無視することのできない要素です。

コン
PFC比は摂取エネルギーに占める栄養素のエネルギーなんだね
そう。密度法ではエネルギーに占める栄養素の量だったよね。実際に使用するのはPFC比が多いよ
ほんいつ
コン
確かに、1500kcalの献立を立てるときにPFC比が計算できるとたんぱく質や脂質の摂取量の目標を作ることができるもんね
そういうこと!
ほんいつ

残差法

残差法ではこのような図が使われます。
残差法
エネルギー摂取量とたんぱく質摂取量の例でみていきましょう。
対象者の総エネルギー摂取量とたんぱく質摂取量から回帰式による回帰直線を出します。
残差法
回帰直線とは、この図のように値を点で示した「散布図」上で、横軸がこの値なら縦軸はこの値になるだろうと予測した値を結んだ直線です。予測値は期待値ともいえます。
残差法
例えばこの場所ではこの集団では、2000kcalを摂取した時にたんぱく質を100g摂取するであろうと予測されています。
さて、最初の例を使って具体的に見ていきましょう。
Aさんは1300kcal摂取した時にたんぱく質を40g摂取していました。

図でいうと、ここになります。
残差法
1300kcalの集団平均の予測値はここです。
残差法
この二つの点はどちらも1300kcal摂取した場合のたんぱく質量を示しています。

残差法
上がAさん、下が平均の予測値です。
Aさんの点は40g、予測値は35gでした。
5gの差があります。これが残差です。
1500kcal摂取した時のたんぱく質量を知りたいので、1500kcal摂取時の予測値を見てみましょう。

残差法
ここです。たんぱく質量は60gでした。
残差は5gなので、60に5gを足した65gがAさんの1500kcalを摂取したときのたんぱく質量と予測することができます。

残差法

1300kcal摂取した時のたんぱく質摂取量を見たときに、Aさんが30g、予測値が35gだったとしたら、1500kcalの予測値60gから残差-5gを足してAさんの1500kcal摂取時のたんぱく質摂取量は55gであろうと予測できます。

この65gのたんぱく質量を、総エネルギー調整たんぱく質摂取量といいます。
残差法は集団の摂取量や個人の摂取量に影響されます

コン
あれっ? なんか、思ってたよりは簡単かも
そうでしょ。要は予測と本当に摂った値の差を、知りたいエネルギーにも適用するというだけだからね
ほんいつ
コン
そういう言葉で説明されるとわかんなくなってくるよ…
そういう時は図で覚えて!
ほんいつ

おまけ

過去問で相関係数や期待値といった統計に関する用語が出題されたこともあるので、少し解説します。

相関係数

相関係数とは、x軸とy軸の関係の強さを示しています。
-1と1の間の実数値で表されます。2とか-4とかにはなりません。

少数や分数、負の数も実数です。
1に近いと正の相関、-1に近いと負の相関となります。
一方があがるともう一方も上がるのが正の相関、一方が上がると一方が下がるのが負の相関です。
右上がりが1、右下がりが-1に近くなるということですね。
つまり、右上がりが正の相関、右下がりが負の相関ということです。

期待値

期待値とは何かを試行した時に得られる結果の平均値です。
確率を考慮した平均ともいいます。
実際に得た数値ではないということです。
こうなるだろう、という予測値とも言えます。
さいころを6回振って出る目の平均はなにか、という問題で計算した答えが期待値です。

コン
動画はアニメーション付き♪♪

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