


CKDの基本
chronic(慢性的)
kidney(腎臓)
disease(疾患)
のことで、日本語だと慢性腎臓病と訳されます。
慢性腎臓病とは、何らかの腎障害が3か月以上持続する状態をいいます。
具体的には
CKDの条件
①尿検査で尿蛋白陽性がでる、画像診断、血液、病理で腎障害があることが明らかであること。
②GFR(eGFR)が60mL/分/1.73m²未満であること。
①か②のいずれか、または両方の状態が3か月以上続いた場合をいいます。
GFRとは
GFRとは糸球体ろ過量のことです。
糸球体は体の老廃物などをろ過して尿中に排泄する機能を持ちます。
糸球体がどれだけ老廃物をろ過できているかを表しているのがGFRです。
これが低下すると、腎臓のろ過機能が低下しているということです。
実際にろ過される前の原尿と排泄された尿の成分の差を知ることは難しいので
血清クレアチニン値、性別、年齢からGFRを推定したのが
eGFR(推算糸球体ろ過量)です。
クレアチニンは筋肉の中で産生され、食事の影響をほとんど受けません。
さらに、ほとんどが再吸収されず、尿と一緒に体外に排泄されるため
腎機能の良い指標となっています。
血清クレアチニンが高いということはろ過機能がきちんと働かずに
クレアチニンが体内に残っているということです。
このことから、腎機能が落ちているということがわかります。




eGFRは健康な人で90mL/分/1.73m²以上とされています。
これよりも低下すればするほど、腎機能が低下しているということです。
CKDをもっと詳しく
CKDは、「腎障害を慢性的に持続する病態すべてを含む」というかなり広い意味を持ちます。
つまり、ネフローゼ症候群や糖尿病性腎症もCKDに含まれるということになります。
少しわかりにくいですが、
ネフローゼ症候群や糖尿病性腎症はCKDの原因であり、種類ともいえる
と覚えておくといいかと思います。




CKDはやがて慢性腎不全を引き起こすだけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を引き起こす
原因にもなります。
CKDの食事療法
重症度分類表・食事療法表
CKDの重症度分類表というものがあります。
CKDのもとになった疾患、たんぱく尿の程度、糸球体ろ過量から重症度を見るというものです。
色が濃いほど重症度が高くなり、死亡や腎不全のリスクも高まります。
G1やG2というのはステージ1、ステージ2などともいわれます。
慢性腎臓病に対する食事療法基準というものがあり、ステージによって食事療法が異なります。
塩分制限
ステージが進むごとに、徐々にたんぱく質、カリウム、塩分に制限が増えていきます。
塩分に関しては全ステージで6g未満となっています。
塩分も腎臓で排泄されるのですが、腎機能が落ちると排泄されにくくなり、高血圧となってしまいます。
高血圧になると、腎臓の血管も傷つきさらに腎機能が低下するという悪循環に陥ります。
こうならないために塩分は早期に制限を必要とします。



たんぱく質制限
たんぱく質は消化されると尿素を生成します。
尿素は尿でしか排泄されないため、尿素を排泄しようとすればするほど腎臓に負担がかかるということになります。
腎臓への負担を減らすために、たんぱく質制限が必要となります。


カリウム制限
カリウムも腎機能が低下すると排泄されにくくなり、高カリウム血症になりやすくなってしまいます。
生野菜や生果物の制限を行うことが多いです。
エネルギー
また、エネルギーは少なすぎず多すぎず、適正量を確保することも大切です。
エネルギーが足りない場合、体は体たんぱくを分解してエネルギーを得ようとします。
たんぱく質が分解されると、尿素が生成され、腎臓に負担がかかりますよね。
そうならないよう、必要なエネルギーはしっかりとれるようにしましょう。


まとめ
CKDはそれに伴う病態が多く、大変なイメージが強いですが基本を押さえればきちんと理解することができます。
2つ表が出てきましたが、食事療法の表は覚えておくといいと思います。
患者の状態やステージからエネルギー量やたんぱく質量を答えさせる問題が出ています。