



貧血とは
貧血はその原因によってさまざまな種類があります。
貧血の定義は「血中ヘモグロビン濃度の低下」がみられることです。


まとめると血中ヘモグロビン濃度が11~13g/dl未満で貧血とされています。
ヘモグロビンは酸素を運ぶ機能を持つ血色素で、赤血球の成分です。
ヘモグロビン濃度が低くなると、酸素が全身にいきわたりにくくなります。
貧血の症状には頭痛やめまい、倦怠感があります。
他に顔色不良や動悸、息切れなどもみられます。
鉄欠乏性貧血
ヘモグロビンには鉄が含まれます。
この鉄が少ないためにヘモグロビンを作れず、鉄欠乏性貧血となります。
貧血の中でも鉄欠乏性貧血は患者数が最も多く、そのほとんどが女性です。
重度の鉄欠乏性貧血では爪がへこむスプーンネイルという症状がみられることもあります。


溶血性貧血
溶血性貧血は、何らかの原因により、寿命前の赤血球が大量に破壊されることで起こる貧血です。
マラソンなどの激しい運動で物理的に赤血球が破壊されて起こることもあります。
間接ビリルビンの上昇、黄疸がみられます。
また、溶血が起こるとハプトグロビンというたんぱく質がヘモグロビンを肝臓へ運ぶため、
血清ハプトグロビン値が低下します。


運びきれなかったヘモグロビンが尿中へ排泄され、褐色のヘモグロビン尿がみられます。


腎性貧血
腎機能の低下による貧血を腎性貧血といいます。
腎臓ではエリスロポエチンというホルモンが作られます。



エリスロポエチンは造血ホルモンともいわれ、骨髄の赤芽球系前駆細胞にはたらきかけ、赤血球を増やします。
腎臓の機能が低下するとエリスロポエチンの分泌も低下し、赤血球をたくさん作れなくなり、貧血になります。
巨赤芽球性貧血
ビタミンB12または葉酸が不足して起こる貧血を巨赤芽球性貧血といいます。
ビタミンB12と葉酸はDNA合成に必要なビタミンです。
不足すると赤芽球がきちんと赤血球になることができず、
赤芽球のまま、体だけ大きくなります。
これを巨赤芽球と呼びます。

巨赤芽球が骨髄中で破壊されるため、間接ビリルビン値は上昇します。
赤血球だけでなく白血球や血小板も減少します。
悪性貧血
悪性貧血は、巨赤芽球性貧血の一種です。
胃で分泌されるキャッスル内因子は、ビタミンB12を吸収しやすくします。
キャッスル内因子が低下することでビタミンB12を吸収できない場合も巨赤芽球性貧血を引き起こします。
内因子の低下の原因には自己免疫性の胃粘膜萎縮と胃全摘があります。
中でも自己免疫性の胃粘膜萎縮による巨赤芽球性貧血を、悪性貧血と呼んでいます。


再生不良性貧血
再生不良性貧血では、造血幹細胞が傷ついたり、異常が起きたりして血液を作れなくなる貧血です。
赤血球だけでなく白血球や血小板も減少します。
そのため易感染性や出血傾向がみられます。
先天性、化学物質や放射線、ウィルスなどが原因となります。
まとめ
貧血は、原因が様々ですが、意外と覚えやすい内容でもあります。
それぞれの特徴をしっかり覚えて、原因と結果の組み合わせを間違えないようにしましょう。

